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2026年のIPO市場|グロース上場が減る中で経営者が見直す準備の論点

CFO.Media編集部
2026年のIPO市場|グロース上場が減る中で経営者が見直す準備の論点

2026年のIPO市場は、上半期で17社と2012年上半期以来の低水準でした。東証への新規上場は1〜9月で31社にとどまり、プライム市場への新規上場は0社です。一方で7〜9月は14社と持ち直しの動きもあります。この記事では、公表データでIPO市場の現在地を確認し、上場を目指す経営者・CFOが見直したい準備の論点を整理します。

2026年のIPO市場は低水準

日本取引所グループ(JPX)の集計では、2026年1〜9月の東証への新規上場は31社です。TOKYO PRO Marketは含みません。市場別の内訳は、スタンダードが13社、グロースが18社、プライムが0社でした。

月ごとの社数は次のとおりです(JPX「最近のIPOの状況」、2026年9月末時点)。

月 スタンダード グロース 合計
1月 0 0 0
2月 2 1 3
3月 0 3 3
4月 4 4 8
5月 0 0 0
6月 0 3 3
7月 1 3 4
8月 0 1 1
9月 6 3 9
計 13 18 31

1月と5月は新規上場がありませんでした。月ごとのばらつきが大きく、4月と9月に上場が集まっています。

あずさ監査法人(KPMG)の集計では、2026年上半期の新規上場は17社で、前年同期から11社減りました。上半期ベースでは2012年上半期以来の低水準です。グロース市場は11社と、2022年の市場再編以降で最も少ない水準でした。

前年通年の水準も確認します。あずさ監査法人によると、2025年の国内の新規上場は66社で、前年から20社減りました。うちグロース市場は41社で、12年ぶりの低水準です。2026年は1〜9月で31社と、通年66社だった2025年を大きく下回るペースで進んでいます。

IPO市場は7〜9月に持ち直し

上期の落ち込みに対して、下期のIPO市場は社数が戻りつつあります。7〜9月の新規上場は14社です。上期の17社は6か月分、下期の14社は3か月分です。1か月あたりでは約4.7社と、上期の約2.8社を上回ります。9月の9社は、2026年の月別で最も多い数字です。

10月以降も上場が続いています。JPXの集計では、10月の新規上場はグロース市場の2社でした。JPXの新規上場銘柄一覧では、11月は上場済みの3社と上場承認済みの4社を合わせて7社(グロース6社、スタンダード1社)、12月は上場承認済みの2社(いずれもグロース)です(11月7日時点)。承認から上場日までは約1か月で、上場日は変更される場合があります。

1〜10月の33社に、11月の7社と12月の2社を足すと、11月7日時点で2026年は少なくとも42社です。2025年の66社に並ぶには、さらに24社が必要になります。当編集部は、2026年通年は2025年を下回る公算が大きいと見ています。

IPO市場でグロース上場が減った背景

デロイト トーマツ グループは、2025年にグロース市場の上場が減った要因を複数挙げています。ひとつは、グロース市場の上場維持基準の見直しです。2030年3月1日から、上場5年経過後に時価総額100億円以上が求められます(現行は上場10年経過後に40億円以上)。デロイト トーマツ グループは、これを主な要因の一つとみています。そのほか、金利の上昇によるコスト増、事業譲渡や被買収などIPO以外の出口の増加、グロース市場指数の低迷も挙げています。

また、東証の論文は、2025年上期に米国の関税措置で金融市場が混乱したと説明しています。特にグロース市場で、上場予定時期を見直す動きがありました。上場の時期が市況の影響を受けることは、経営者が前提にしておきたい点です。

IPO市場で上場企業の中身が大きくなった

社数が減る一方で、上場する会社の規模は上がっています。東証の論文によると、2025年にグロース市場へ上場した会社の初値時価総額の中央値は125億円です。2024年の88億円から増えました。経常利益の中央値も4億円で、2024年の1億円から大きくなっています。

デロイト トーマツ グループの集計では、上場直前期に当期純損失だった会社は2025年が10社でした。2024年の21社から半減しています。社数が絞られ、一社ごとの規模と収益水準が上がる。これが2025年のIPO市場に見られた特徴です。

経営者・CFOが見直す3つの準備

ここまでのIPO市場のデータを、上場を目指す会社の準備に置き直すと、見直したい論点は3つあります。

1. 上場後5年の時価総額から逆算する

グロース市場では、2030年3月以降、上場後5年で時価総額100億円以上が求められます。基準の内容と影響は2026年のIPO市場の構造変化|時価総額100億円基準がスタートアップに与える影響で解説しています。上場時の時価総額だけでなく、5年後にその水準を維持できる成長計画かを、上場前から確認しておく必要があります。調達のたびに株式をどう配分してきたかも、この計画に影響します。資本政策の基本は資本政策とは|創業から上場までの株式配分と種類株の使い分け方で整理しています。

2. 収益化の時期を事業計画に織り込む

上場直前期に赤字だった会社は減り、グロース市場の経常利益の中央値は4億円です。赤字での上場が不可能になったわけではありません。ただ、収益化の時期とその根拠を、事業計画の中で説明できる状態にしておくことが前提になります。会計基準の選択も上場準備の一部です。判断軸はIFRSか日本基準か|スタートアップの会計基準選択2026年版にまとめました。

3. 上場時期のずれに耐える資金計画を置く

2025年上期のように、市況の悪化で上場予定時期が動くことがあります。上場の時期が半年ずれても事業を続けられるよう、ランウェイ(手元資金で事業を続けられる期間)に余裕を持たせる必要があります。次の調達をいつ行うかの考え方は資金調達の適切なタイミング|ランウェイ・KPI・市場環境から判断する方法も参考になります。

よくある質問

2026年のIPO市場では何社が上場しましたか?

JPXの集計では、2026年1〜9月に東証へ新規上場した会社は31社です。内訳はスタンダードが13社、グロースが18社で、プライムは0社でした。TOKYO PRO Marketは含みません。

TOKYO PRO Marketへの上場は上の社数に入っていますか?

入っていません。JPXの同じ集計では、TOKYO PRO Marketへの上場は1〜9月で36社でした。プロ投資家向けの市場で、一般の投資家が取引するプライム、スタンダード、グロースとは分けて数えます。

上場承認から上場までどれくらいかかりますか?

JPXの新規上場会社一覧を見ると、承認から上場日までは約1か月です。たとえば、2026年9月28日に承認された会社の上場日は10月30日と11月2日でした。ただし、上場日は市況などで変更される場合があります。

まとめ

  • 2026年のIPO市場は1〜9月の東証で31社で、上半期の17社は2012年上半期以来の低水準だった
  • 7〜9月は14社と持ち直し、11月は7社、12月は2社の上場が見込まれている(11月7日時点)
  • 2025年は、社数が減る一方で、上場する会社の規模と収益水準が上がった
  • 上場後5年の時価総額、収益化の時期、上場時期のずれに耐える資金計画の3点を見直す

上場準備の期間や基準の詳しい整理は、スタートアップのIPO動向2026|上場基準厳格化と準備期間の実態もあわせてご覧ください。

出典

  • 日本取引所グループ「最近のIPOの状況」(2026年11月2日更新)
  • 日本取引所グループ「新規上場銘柄一覧(株式)」(2026年11月7日時点)
  • あずさ監査法人(KPMG)「IPO動向(上期および年間)」2026年上期・2025年通年
  • デロイト トーマツ グループ「2025年IPO市場の動向」(2026年2月)
  • 東京証券取引所 上場推進部「2025年の新規上場の状況について」(「資本市場」2026年3月号)
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