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スタートアップの給与・ストックオプション設計|採用で負けない報酬戦略

CFO.Media編集部
スタートアップの給与・ストックオプション設計|採用で負けない報酬戦略

スタートアップの採用現場では、大手企業と同じ給与水準を提示できないことが人材獲得の壁になりがちです。スタートアップ 給与設計を工夫し、ストックオプション(SO)を組み合わせれば、限られたキャッシュでも人材を惹きつけられます。給与テーブルの作り方からSOの付与基準、ベスティング設計まで、採用競争で負けない報酬戦略の実務ポイントを解説します。

スタートアップの給与設計とは

基本給とストックオプションの役割分担

スタートアップの給与設計とは、限られたキャッシュを前提に基本給とストックオプションを組み合わせる報酬の仕組みです。目的は優秀な人材の採用・定着にあります。基本給は生活基盤を支える固定報酬です。ストックオプションは会社の成長にコミットしてもらうための成功報酬という役割分担になります。赤字が続くシード〜シリーズA期は、大手企業と同水準の現金給与を提示するのがキャッシュフロー上難しい局面です。そこでSOで報酬ギャップを補う設計が一般的になっています。

なぜ今、報酬設計の見直しが必要か

2026年時点でエンジニアを中心に採用競争が激化しており、給与水準を引き上げる動きが広がっています。経済産業省は2025年2月に「スタートアップの成長に向けたインセンティブ報酬ガイダンス」を公表しました。SO設計の考え方を整理した内容です。制度・相場の変化を踏まえ、報酬設計を定期的に見直す必要性が高まっています。

給与・ストックオプション設計の具体的な方法

給与テーブルの作り方

給与テーブルは職種・レベル別に基本給レンジを定義し、市場相場と自社のキャッシュ状況を突き合わせて設計します。全職種を大手水準に合わせる必要はありません。事業のコア人材(初期エンジニア・セールスリーダー等)に絞って相場に近づけます。その他のポジションは市場中央値前後に抑えるメリハリが現実的です。半期〜年1回のペースで相場データを更新する仕組みを組み込むと、採用市場の変化に追随できます。

ストックオプションの付与基準

SOの付与比率は成長段階によって変える必要があります。創業期に参画するコアメンバーには高い比率を設定します。組織が拡大する成長期以降は、一人当たりの比率を段階的に下げていくのが一般的な流れです。上場が近づく局面では、発行済株式総数の10%程度の枠に収まるよう厳密に調整されるケースが多く見られます。役職・入社時期・貢献度を基準に付与テーブルを事前に用意しておくと、個別交渉のたびに条件がぶれるのを防げます。

給与とSOの配分バランス

現金給与とSOの配分は、「基本給を市場相場の何%まで下げてよいか」を基準に決めるのが実務的です。目安として基本給を市場相場の70〜90%程度に抑え、差分をSOの期待値で補う設計がよく使われます。ただし候補者ごとにリスク許容度は異なります。現金比率を選べる複数プランを用意する企業も増えています。

報酬設計で失敗しないためのポイント

よくある失敗パターン

よくある失敗は、SOの比率を高く設定しすぎて基本給が市場水準を大きく下回るケースです。候補者に「安く使われる」という印象を与えてしまいます。また、付与基準を明文化せずに個別交渉で条件を決めてしまうと、社内で不公平感が生まれます。後から人事トラブルに発展することもあります。

成功のための準備

ベスティング(権利確定条件)を明確に設計することが前提になります。グローバルでは4年ベスティング・1年クリフが標準です。入社1年後に25%の権利が確定し、以降は月次で権利が積み上がっていく仕組みです。日本のスタートアップでも同様の設計が広がっています。行使期間は付与決議日から2〜10年、上場するまで行使不可とするパターンが多く見られます。

税制適格SOを活用する場合は、制度の変更点も踏まえて設計する必要があります。2024年度税制改正により、設立5年未満の企業は年間の権利行使価額の上限が最大3,600万円に引き上げられました。従来は1,200万円が上限でした。設立20年以上の企業は、現在も1,200万円が上限です。この改正を踏まえて設計すると、候補者側の手取りメリットを高めやすくなります。

2026年の採用市場と報酬設計の最新動向

2026年時点で、非上場企業を含むスタートアップの83.1%がストックオプション制度を導入しています。人材確保のための標準的な手段になっているといえます。エンジニア採用の激化を背景に基本給の引き上げも進んでいます。給与だけで大手企業と競うのではなく、SOや非金銭的な魅力(裁量権・成長機会)を組み合わせた総合的な報酬設計が求められています。

CFO.Mediaの調達データでも、シリーズA以降を経た企業ほど採用計画に人件費・SO発行枠を組み込む傾向がみられます。資金調達のタイミングと報酬制度の見直しをあわせて検討する企業が増えています。

よくある質問

ストックオプションは何%くらい付与すればよいですか?

創業期のコアメンバーには高めの比率を、成長期以降は段階的に引き下げていくのが一般的です。上場が近づく局面では、全体で発行済株式の10%程度に収めるのが目安になります。

税制適格ストックオプションの上限額はいくらですか?

2024年度税制改正により、設立5年未満の企業は年間の権利行使価額の上限が最大3,600万円に引き上げられました。設立20年以上の企業は1,200万円のままです。

ベスティング期間はどのくらいが標準ですか?

グローバルでは4年ベスティング・1年クリフが標準です。日本のスタートアップでも同様の設計が広く採用されています。

まとめ

スタートアップの給与設計は、基本給とストックオプションの役割分担を明確にすることが出発点です。成長段階に応じて付与基準を見直すことが、採用競争を勝ち抜く鍵になります。

  • 基本給はコア人材に絞って市場相場に近づける
  • SOの付与比率は成長段階で段階的に調整する
  • ベスティング・行使条件を明文化し、社内の公平性を保つ
  • 税制適格SOの上限額改正など制度変更を反映する

報酬制度と合わせて、SOの税制・発行手順はストックオプション制度の設計で解説しています。採用・人事制度全体の設計はスタートアップのHR戦略、役員層の報酬は役員報酬の設計方法もあわせてご確認ください。

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