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補助金の二重受給・不正受給リスクと対策|返還請求・処罰規定と防止策

CFO.Media編集部
補助金の二重受給・不正受給リスクと対策|返還請求・処罰規定と防止策

補助金の二重受給は、意図しない形で起きることがあります。複数の補助金を同時に活用しようとした際に、同一の経費を複数の制度に計上してしまうケースが代表的です。発覚した場合は補助金全額の返還にとどまらず、加算金や刑事罰に及ぶこともあります。申請前の確認が欠かせない理由はここにあります。

補助金の二重受給・不正受給とは

補助金の不正受給とは、虚偽の申請や報告によって本来受け取る資格のない補助金を受け取る行為を指します。二重受給はその典型例の一つで、複数の補助金制度に同一の対象経費を計上して補助を受けることです。

故意によるものだけでなく、申請時の確認不足や制度理解の誤りによって意図せず発生するケースも少なくありません。「規約を読んでいなかった」「担当者に確認しなかった」という状況でも、責任を問われる可能性があります。

二重受給・不正受給の主な類型

不正受給の類型は大きく3つに分かれます。①虚偽申請(要件を満たさないのに満たすように申告)、②流用(補助対象外の経費に補助金を使用)、③二重計上(同一経費を複数制度に申請)です。スタートアップが陥りやすいのは③の二重計上で、制度間のルール確認漏れから発生します。

二重受給・不正受給が発覚した場合のリスク

不正受給が発覚した場合のペナルティは、想定よりも重いことが多いです。主なリスクを順に見ていきます。

補助金の全額返還請求

最も基本的な対応が、受給した補助金の全額返還請求です。部分的な違反であっても、補助金全体が返還対象となるケースがあります。返還は補助金事務局または所管省庁から書面で通知され、指定期限内に全額を返却しなければなりません。

加算金・延滞金のペナルティ

返還請求に加えて、加算金(補助金額の一定割合)と延滞金が課されます。加算金の率は制度によって異なりますが、補助金額の10~20%が課されるケースが見られます。悪質性が認定された場合はさらに重い加算金が科される場合もあります。

刑事罰・行政処分の可能性

故意による不正受給の場合、詐欺罪(刑法246条)の適用が検討されます。詐欺罪の法定刑は10年以下の拘禁刑です。また、不正受給の公表(いわゆる「名前の公表」)を行う制度を持つ補助金も増えており、事業上の信用毀損リスクも見過ごせません。

二重受給になりやすいケースと注意点

複数の補助金を組み合わせる戦略自体は有効ですが、ルールを誤解すると意図せず二重受給に該当することがあります。

複数補助金の同時申請

事業再構築補助金とIT導入補助金、ものづくり補助金などを同時期に申請するケースは珍しくありません。問題が生じるのは、同一の設備費用や開発費を複数の補助金の対象経費として計上する場合です。同一経費の重複計上は、補助金ごとの規約で明確に禁止されています。

採択後の経費仕分けミス

採択を受けた後、実際に支出する段階で経費の仕分けを誤るケースもあります。クラウドサービスの利用料やシステム開発費など、複数のプロジェクトにまたがる経費は特に注意が必要です。補助事業に計上する分と、そうでない分を明確に区分して記録しておく必要があります。

同一法人グループ内での申請

親会社と子会社が別々に補助金を申請し、実質的に同一の事業に使用するケースも問題になることがあります。申請時に「関係法人」の開示が求められる制度も多く、関連会社情報の正確な記載が求められます。

不正受給を防ぐための実務チェックリスト

申請前と採択後の2段階で確認することで、リスクをほぼゼロに抑えることができます。

申請前に確認すべき5つのポイント

  1. 対象経費の重複確認: 今回計上する経費が、他の補助金・助成金に申請済みのものと重複していないか確認する
  2. 制度間の併用可否の照合: それぞれの公募要領で「他の補助金との併用可否」の条項を確認する
  3. 関係法人の記載漏れチェック: 親会社・子会社・関連法人の申請状況と、今回の申請内容が矛盾していないか確認する
  4. 経費の用途明確化: 補助対象経費が補助事業の目的にのみ使用されることを文書で整理しておく
  5. 事務局への事前相談: 判断が難しいケースは申請前に補助金事務局に問い合わせ、回答を記録に残す

採択後・実績報告時の注意事項

採択後も油断はできません。実績報告時に提出する書類の整合性が重要です。領収書・通帳の写し・稼働記録など、補助事業に使った経費の証跡は他の事業と混在しないよう管理します。デジタル化・AI導入補助金のように事後確認が強化された制度では、報告書の精度が採択後の監査基準になります。

書類の保存期間についても確認が必要です。補助事業に関する帳票・証跡類は、補助事業の終了後5~10年間の保存が求められるケースがあります。制度ごとに保存期間が異なるため、採択通知と公募要領を手元に保管してください。

よくある質問

Q. 複数の補助金を同時に受け取ることは違法ですか?

複数の補助金を同時に受け取ることは違法ではありません。ただし、同一の経費を複数の補助金に計上することは禁止されています。制度間で対象経費を適切に分離すれば、合法的な組み合わせが可能です。

Q. 誤って重複してしまった場合はどうすればよいですか?

気づいた時点で速やかに補助金事務局に自己申告することが重要です。発覚前に自己申告した場合は、加算金が軽減されるケースがあります。指摘を受けてから対応した場合は、より重いペナルティが課されるリスクがあります。

Q. 不正受給の調査はどのように行われますか?

各省庁・事務局は定期的または抽出的に実績調査を行います。調査では、提出した領収書・証跡と実際の支出明細の照合、補助対象設備・ソフトウェアの稼働状況確認などが行われます。会計検査院の検査対象となるケースもあるため、書類は長期間保存しておくことが妥当です。

まとめ

補助金の二重受給・不正受給は、意図しない形でも発生することがあります。リスクの核心は以下の3点です。

  • 補助金全額の返還請求(加算金・延滞金も加算)
  • 故意の場合は詐欺罪(10年以下の拘禁刑)の適用可能性
  • 社名の公表による事業上の信用毀損

リスクを防ぐには、申請前の経費重複チェックと制度間のルール確認、採択後の証跡管理が核心です。判断に迷うケースは事務局への事前相談を活用してください。CFO.Mediaでは補助金制度の最新動向と活用実務を週次・月次レポートと業界分析として継続的に発信しています。

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