CFO.Media

IT・SaaS企業が使える補助金2026|ソフトウェア・クラウド開発費の対象制度まとめ

CFO.Media編集部
IT・SaaS企業が使える補助金2026|ソフトウェア・クラウド開発費の対象制度まとめ

「ソフトウェア開発費は補助金の対象になるのか」—IT系スタートアップからよく聞かれる質問です。結論から言うと、制度によって対象範囲が大きく異なります。2026年時点で使える主要補助金と活用ポイントをまとめました。

IT・SaaS企業が補助金を活用する前に知っておくべきこと

補助金で対象になる費用となならない費用

補助金で最もよく誤解されるのが「ソフトウェア開発費」の扱いです。自社プロダクトの開発費は多くの補助金で対象外ですが、業務効率化・DX推進のためのシステム導入費は対象になるケースがあります。

対象になりやすい費用:

  • 業務効率化・DX推進のためのクラウドサービス導入費
  • 自社業務改善用のソフトウェア・カスタマイズ費
  • AI・IoTツールの導入・設定費
  • 事業開発に関連する外注費・委託費

対象外になりやすい費用:

  • 販売目的のSaaSプロダクト開発費
  • 汎用的なPCやスマートフォンの購入費
  • 通常の運転資金・キャッシュフロー補填

IT・SaaS企業が申請で押さえるべきポイント

補助金申請では「事業課題との直接的な紐付け」が審査の核心です。「クラウド移行でコスト削減」ではなく「受注管理をクラウド化し月次処理工数を30%削減、CFOが戦略業務に集中できる体制を構築する」のように具体化することが採択率を上げます。

IT・SaaS企業は製造業型の設備投資補助金より、DX推進型・成長支援型の補助金が相性が良い傾向があります。制度の設計趣旨を理解した上で選定することが重要です。

IT・SaaS企業が使える主要補助金4選(2026年版)

①デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

2026年からIT導入補助金をリニューアルし「デジタル化・AI導入補助金」として再編された制度です。登録済みクラウドSaaSの月額費用(最大2年分)やAI機能を含むツールの導入費が対象になり、IT企業の業務効率化に活用しやすい補助金です。

  • 補助率: 最大1/2~2/3
  • 補助上限: 枠によって異なる(最大450万円程度)
  • 対象費用: 登録クラウドSaaSの月額利用料、導入・設定費
  • 注意点: 登録IT導入支援事業者経由での申請が必須。販売目的のSaaS開発費は対象外

②ものづくり補助金

「製造業向け」のイメージが強いですが、サービス業・IT企業も対象です。革新的な製品・サービス開発のための設備投資として、ソフトウェア費・外注費が補助対象になります。IT・SaaS企業がシステム開発費用を補助金でカバーできる数少ない制度のひとつです。

  • 補助率: 中小企業1/2、小規模事業者2/3
  • 補助上限: 通常枠1,000万円(グローバル展開型は最大3,000万円
  • 対象費用: ソフトウェア費、機械装置費、技術導入費、外注費
  • 注意点: 「革新性」の説明が必須。既存業務の単純効率化のみでは採択されにくい

【重要:2026年6月以降の変更】ものづくり補助金は旧制度として、2026年5月8日が第23次公募(最終)の締切です。2026年6月以降は、新事業進出補助金と統合された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として新制度がスタートします。詳細は中小企業庁の最新公募要領をご確認ください。

③中小企業省力化投資補助金

人手不足解消・省力化を目的とした補助金で、IoTセンサー・AI搭載カメラ・クラウド型管理システムなどカタログに掲載された製品の導入が対象です。カタログにはIT系ツールも多数登録されており、比較的手続きがシンプルです。

  • 補助率: 中小企業1/2、小規模事業者2/3
  • 補助上限: 最大1,500万円(従業員数により上限が異なる)
  • 対象費用: カタログ登録製品の購入・設置費用
  • 注意点: カタログ掲載製品のみが対象。カスタム開発は対象外

④中小企業新事業進出補助金(2026年6月より統合制度へ)

新事業進出補助金は、2026年6月より「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として、新ものづくり補助金と統合されました。IT企業が新たなSaaS領域に進出する際の開発費・外注費・設備投資が対象になります。既存事業とは異なる新規領域への進出を計画している企業に向いています。

  • 補助率: 原則1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時のみ2/3
  • 補助上限: 最大7,000万円(成長分野・グリーン枠は上乗せあり)
  • 対象費用: ソフトウェア費、外注費、広告宣伝費、建物費等
  • 注意点: 「新規性」の明確な説明が必要。既存事業の単純拡大は対象外

【統合制度について】旧ものづくり補助金(第23次、2026年5月8日締切)と旧新事業進出補助金(第4次、2026年6月19日締切)は、2026年6月以降の新公募で「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として統合されます。申請前に中小企業庁の最新の公募要領で制度内容・要件・補助率を必ず確認してください。

クラウド開発費・SaaS費用の補助金適用判断

対象になりやすいケース

自社業務の効率化・DX推進が目的であれば対象になりやすいです。例えば社内向けプロジェクト管理ツールの導入(デジタル化・AI導入補助金)、製造プロセス管理ソフトの開発委託(ものづくり補助金)、AI搭載の在庫管理システムのカタログ購入(省力化補助金)などが該当します。

対象外になりやすいケース

販売目的のSaaSプロダクト開発費は多くの補助金で対象外です。公募要領の「補助対象経費の定義」を必ず確認することが重要です。

申請前に確認すべき公募要領のポイント

確認項目 確認のポイント
対象経費の定義 ソフトウェア費・外注費・クラウド利用費の範囲
事業計画書の様式 審査基準に沿った記述様式
認定支援機関の要件 必須かどうか(ものづくり補助金等は必須)
補助期間と精算方法 実施期間・実績報告のスケジュール

よくある質問

SaaSの月額費用は補助金対象になりますか?

デジタル化・AI導入補助金では、登録済みクラウドサービスの月額費用(最大2年分)が対象になります。ただし自社が販売するSaaSの開発費は対象外です。

ソフトウェア開発の外注費は補助金対象ですか?

ものづくり補助金・中小企業新事業進出補助金では外注費が対象費用に含まれます。ただし補助事業の一部を実施するためのものに限定され、補助金総額の1/2を超えることはできません。

複数の補助金を同時に申請できますか?

原則として可能です。ただし同一の経費に対して複数の補助金を受給する「二重受給」は禁止されています。費用区分を明確にした上で申請することが重要です。

まとめ

IT・SaaS企業が2026年に活用できる主要補助金の要点をまとめます。

  • デジタル化・AI導入補助金: クラウドSaaS導入費が対象。最大450万円程度
  • ものづくり補助金: ソフトウェア・システム開発費も対象。最大1,000万円
  • 中小企業省力化投資補助金: AI・IoTツールのカタログ製品導入。最大1,500万円
  • 中小企業新事業進出補助金: 新規SaaS領域進出の開発費。最大7,000万円

どの補助金でも「事業課題との直接的な紐付け」と「対象費用の正確な把握」が採択の鍵です。制度は毎年見直されるため、申請前に最新の公募要領を必ず確認してください。CFO.Mediaでは補助金制度の最新動向を週次・月次レポートとして継続的に発信しています。

C.
Author
CFO.Media編集部

CFO.Mediaは、シード・アーリー期の資金調達を目指す起業家のための情報プラットフォームです。国内スタートアップの調達事例や最新トレンドを、データと実例をもとにわかりやすく解説します。