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エンジェル税制とは?スタートアップと投資家のメリット・申請方法

CFO.Media編集部
エンジェル税制とは?スタートアップと投資家のメリット・申請方法

エンジェル投資家からの出資を検討するとき、税負担の重さで二の足を踏む個人投資家は少なくありません。

エンジェル税制を使えば、投資額に応じた所得控除や、株式譲渡益の非課税・控除といったメリットを受けられます。

この記事では、エンジェル税制の仕組みと優遇措置A・Bの違いを解説します。

あわせて2026年度の改正点、スタートアップ・投資家双方が押さえるべき申請の流れも紹介します。

エンジェル税制とは

制度の定義と目的

エンジェル税制とは、スタートアップ企業に出資した個人投資家に対して、所得税・住民税の優遇を行う制度です。

対象となるのは、本店所在地の都道府県による要件確認を受けたベンチャー企業への出資です。

出資した年の所得控除と、株式を売却した年の譲渡益優遇という、2段階の税メリットが用意されています。

制度自体は1997年から続くものです。

近年はシード期の資金調達手段の多様化とあわせて、活用を検討するスタートアップ・投資家が増えています。

なぜ今エンジェル税制が重要か

スタートアップは創業初期ほど銀行融資やVCからの出資を受けにくく、個人投資家の存在が資金調達の選択肢を広げます。

2026年(令和8年)1月1日以降に取得する株式からは、再投資期間が株式譲渡益発生の翌年末(最長2年)まで延長されます。

保有期間の要件も新設され、制度の使い勝手と対象範囲が段階的に拡充されています。

投資家・スタートアップ双方が押さえておきたいポイントです。

エンジェル税制は投資家個人が確定申告で使う制度ですが、要件確認の起点はスタートアップ側にあります。

そのため、資金調達を進めるCFOや経営者が制度を理解しているかどうかで、投資家への訴求力が変わってきます。

エンジェル税制の具体的な優遇措置

エンジェル税制には、対象企業の設立年数や控除の仕組みが異なる3つの優遇措置があります。

優遇措置A — 設立5年未満の企業が対象

優遇措置Aは、設立5年未満の中小企業への投資が対象です。

投資額から2,000円を差し引いた金額を、その年の総所得金額等から控除できます。

たとえば年間300万円を出資した場合、299万8,000円を総所得金額等から控除できる計算です。

控除できる投資額の上限は、総所得金額等の40%と800万円のいずれか低い方が目安です。

基準は年度により見直されるため、申請時は都道府県の最新案内を確認しましょう。

プレシード・シード特例の企業要件を追加で満たす場合、外部資本比率の要件が1/6以上から1/20以上に緩和されます。

優遇措置B — 設立10年未満の企業が対象

優遇措置Bは、設立10年未満の中小企業まで対象を広げた制度です。

投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除でき、控除額に上限はありません。

株式譲渡益が出ている投資家にとっては、優遇措置Aより有利になるケースが多い制度といえます。

一方で、控除の対象は株式譲渡益に限られるため、譲渡益がない年は控除しきれない場合がある点に注意が必要です。

プレシード・シード特例 — 創業直後の投資に対する非課税措置

プレシード・シード特例は、創業間もないスタートアップへの投資を対象にした非課税措置です。

要件を満たす企業の株式を売却して得た利益は、20億円まで非課税になります。

適用には外部資本比率1/20以上などの要件があり、対象企業の営業損失が0未満であることも条件のひとつです。

上限の20億円を超える投資額分については、課税が繰り延べられる仕組みになっています。

エンジェル税制で失敗しないためのポイント

よくある失敗パターン

最も多い失敗は、出資前に都道府県への要件確認を済ませていないケースです。

エンジェル税制の適用は、基準日時点でベンチャー企業要件と個人投資家要件の両方を満たして初めて成立します。

出資後に確認書の交付が受けられず、優遇措置そのものが使えなくなる事例も見られます。

また、投資契約の締結日と払込日がずれてしまい、要件確認のタイミングを誤るケースも少なくありません。

成功のための準備

スタートアップ側は、出資を受ける前に本店所在地の都道府県へ確認申請を行い、確認書の交付を受ける必要があります。

投資家側は、都道府県から交付された確認書と付属書類を保管し、確定申告時に添付します。

申請から確認書交付までは数週間かかることもあるため、資金調達のスケジュールには余裕をもたせておくと安心です。

複数の投資家から同時に出資を受けるラウンドでは、確認書の交付対象者リストを事前に整理しておきましょう。

手続きが滞りなくなります。

エンジェル税制の最新動向

2026年度(令和7年度)税制改正では、再投資期間の延長と保有期間要件の新設が決まりました。

いずれも2026年1月1日以降に取得した株式が対象です。

再投資期間の延長により、株式譲渡益が発生した投資家は最長2年間、次のスタートアップへの再投資でエンジェル税制を使えます。

CFO.Mediaの投資家データベースでは、エンジェル税制の活用実績がある個人投資家・VCの情報も確認できます。

出資を検討する際は、投資家側の制度理解度も選定基準のひとつとして意識しておきましょう。

よくある質問

エンジェル税制はどの投資家でも使えますか?

個人投資家であれば基本的に対象になりますが、出資先の企業が都道府県の要件確認を受けていることが前提です。未上場のベンチャー企業への直接出資が対象で、上場企業への投資は対象外です。

優遇措置Aと優遇措置Bはどちらを選べばよいですか?

株式譲渡益が多い投資家は優遇措置B、それ以外の所得が中心の投資家は優遇措置Aが有利になりやすい傾向があります。どちらも自動的に選べるわけではなく、対象企業の設立年数や外部資本比率などの要件を満たしているかで判定されます。

確認書はいつ申請すればよいですか?

出資契約を締結する前、遅くとも払込日までに、本店所在地の都道府県へ確認申請を行うのが基本です。出資後に申請すると要件確認がタイミングを逃さず、優遇措置そのものが使えなくなる可能性があるため、早めの準備が重要です。

まとめ

エンジェル税制には、出資時点の所得控除(優遇措置A・B)と、譲渡益の非課税措置(プレシード・シード特例)があります。

出資時点・売却時点の両方で税メリットを設計できる制度です。

  • 優遇措置A:設立5年未満、総所得金額等から控除、上限あり
  • 優遇措置B:設立10年未満、株式譲渡益から全額控除、上限なし
  • プレシード・シード特例:譲渡益20億円まで非課税

出資前の都道府県への確認申請を忘れずに、投資家・スタートアップ双方で準備を進めましょう。

エンジェル投資家を探す際は、CFO.Mediaの投資家データベースもあわせてご活用ください。

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