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ものづくり補助金を活用しよう!対象者や申請方法、活用事例を解説!【2022年9月時点】

 

ものづくり補助金とは中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施している制度で、革新的なサービスの開発、試作品開発、生産プロセス改善などにかかる費用の補助金として利用できます。
今回は、ものづくり補助金の対象者・申請方法、活用事例などについて解説します。

ものづくり補助金とは?概要・種類・対象者を解説

まずは「ものづくり補助金」の基本情報について解説します。

ものづくり補助金の概要

ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。生産性向上を実現するための革新的なサービスの開発・試作品開発・生産プロセス改善のための設備投資などの支援の目的に制度化されました。

ものづくりに関わることであれば業種に関係なく応募することができ、製造業だけでなく、サービス業・小売業・農業などの採択事例もあります。また法人だけでなく、条件を満たせば個人事業主でも応募できます。
ものづくり補助金総合サイトによると、令和4年2月16日から令和4年5月12日までの公募を行ったところ、全国で4,294者からの申請がありました。採択となったのはこのうち、2,612者となっています。今後も公募の募集が予定されているため、興味のある方は以下の内容を参考にぜひ応募してみてください。

ものづくり補助金の種類とそれぞれの上限金額・補助率

ものづくり補助金には以下の3つの種類があります。

一般型

補助金の上限は1,000万円で、補助率は1/2の制度です。ただし応募者が小規模事業者の場合は補助率が2/3まで上がります。新製品・サービスの開発や生産プロセス・サービス提供の改善のための設備投資にかかる経費の一部に利用できます。

グローバル展開型

補助金の上限は3,000万円で、補助率は1/2の制度です。海外事業の開発・海外拠点の拡大や強化にかかる経費の一部に利用できます。海外事業を実施しているまたは実施できるという点で、比較的事業規模の大きな企業が応募します。また、グローバル展開型は「海外直接投資型、海外市場開拓型、インバウンド市場開拓型、海外事業者との共同事業型」などに分けられます。

ビジネスモデル構築型

補助上限額1億円の高額な補助金が用意されている制度です。新しいビジネスモデルの構築や事業計画策定のための面的支援プログラムに活用できます。30社以上の中小企業が参加していることなどが条件となっており、規模が大きく影響力が強い会社が対象者になります。

ものづくり補助金の対象者・対象事業

ものづくり補助金の対象者・対象事業について解説します。以下の3つが応募の条件になります。

・補助金を申請する段階で創業が完了している
・小規模事業者・中小企業であること
・賃金引上計画を従業員に表明している

ものづくり補助金の応募を検討している場合は、まずはこれらの3つを満たしているかを確認しましょう。なお、小規模事業者・中小企業の定義は業種などによって異なります。小売業の場合は資本金5,000万円以下もしくは常時雇用している従業員の方が50名以下など、それぞれ条件があるため、自身の業種を踏まえて確認してみてください。
なお、上述したように対象事業に明確な縛りはありません。新しい商品・ビジネス・サービスの開発に関わる経費であれば、幅広く応募できます。

ものづくり補助金2022年以降の変更点

ものづくり補助金(一般型・グローバル展開型のみ)は、おおよそ3か月ごとに応募者を募っています。スケジュールや2022年以降の変更点について解説します。

スケジュール

2022年は、6月・9月・12月・3月の四半期ごとに採択発表を行うスケジュールで4回の公募が行われました。2023年のスケジュールはまだ発表されていないため、応募を検討している方は公式サイトより適宜確認してみてください。

参考:ものづくり補助事業公式ホームページ スケジュール

その他の変更点

その他、2022年現時点で更新された変更点について解説します。

デジタル枠・グリーン枠の設置

デジタル枠「DX(デジタル・トランスフォーメーション)に資する製品・サービスの開発や、デジタル技術を活用した生産プロセスの改善を行う事業者」、グリーン枠「温室効果ガスの排出削減に資する製品・サービスの開発や、炭素生産性向上を伴う生産プロセスの改善などを行う事業者」を対象とする枠が設置されました。

【デジタル枠の条件と上限金】

・条件
① DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること。
② ②デジタル技術を活用生産プロセス・サービス提供方法の改善であること。
いずれかに該当する事業であること。

・上限金(補助率2/3)
従業員規模5人以上:750万円以内
従業員規模6~20人以上:1,000万円以内
従業員規模21人以上:1,250万円以内

【グリーン枠の条件と上限金】

・条件
① 温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発
② 炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善
いずれかに該当する事業であること。

・上限金(補助率2/3)
従業員規模5人以上:1,000万円以内
従業員規模6~20人以上:1,500万円以内
従業員規模21人以上:2,000万円以内

回復型賃上げ・雇用拡大枠の新設

業績が悪く事業継続が難しい事業者を対象として新設された枠です。通常要件のほか、前年度の課税所得が0の事業者を対象としています。

【条件・上限金】

・条件
① 前年度の事業年度の課税所得がゼロである
② 常時使用する従業員がいる
③ 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成する
基本要件の他、上記3点を満たしていること。

・上限金(補助率2/3)
従業員規模5人以上:100~750万円以内
従業員規模6~20人以上:100~1,000万円以内
従業員規模21人以上:100~1,250万円以内

補助対象事業者の見直し・拡充

小規模事業者・中小企業だけでなく中堅企業も応募できるように条件が見直されています。具体的には「資本金10億円未満の特定事業者」が対象事業者に追加されました。

従業員規模に応じた補助上限額の設定

賃金の引き上げに積極的な事業者を支援するために条件が変更されました。補助上限額が一律1,000万円であったところから、従業員数に応じた金額に見直されています。見直された上限金額は以下です。

・補助上限額
従業員規模5人以上:750万円以内
従業員規模6~20人以上:1,000万円以内
従業員規模21人以上:1,250万円以内

・補助率
中小企業:1/2以内
小規模事業者・再生事業者:2/3以内

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要|中小企業庁

ものづくり補助金の必要種類と申請の流れ

ものづくり補助金に応募するための必要書類と申請の流れについて解説します。

必要書類

ものづくり補助金の必要書類は以下です。
・電子申請の申請書
・事業計画書
・決算報告書(2期分)
・履歴事項全部証明書(設立後5年未満の場合)
・開業届(個人事業主で開業後5年未満の場合)
・賃上げ計画の表明書
・事業継続力強化計画の認定書(加点として申請する場合)
・労働者名簿(小規模事業者の場合)
・経営革新計画の認定書(加点として申請する場合)

申請時に必要になるため、事前に準備しておきましょう。

申請の流れ

ものづくり補助金の申請は以下の流れで進行します。

必要書類の準備

上記でご紹介した必要書類を準備します。申請書は必ず最新のものを中小企業団体中央会のホームページからダウンロードしましょう。

ものづくり補助金事務局に申請

ものづくり補助金の申請はすべて電子化されています。申請には、電子申請システムのgBizIDプライムのアカウントが必要です。事前に取得しましょう。取得したアカウントを利用して、経済産業省が提供する補助金申請システム「Jグランツ」で申請します。なお、gBizIDプライムのアカウント取得には3週間程度の時間がかかります、早めに取得しておきましょう。

電子申請審査

電信申請された情報をもとに審査を行います。審査の結果は申請者全員に対して通知されます。採択された場合は、受付番号、商号または名称、事業計画名などが公表されます。採択後には事業完了までの手続きについて説明会や個別のヒアリングが実施されます。

実施内容の報告

補助事業が完了した時点で、実施した内容を報告します。実績報告書で事業内容やかかった経費を記載して提出しましょう。報告書をもとに事務局による確定検査があります。

補助金の請求・交付

実施内容の報告と検査が完了したあと、問題なければ補助金の金額が確定して、後に交付されます。

採択を受けるために抑えておきたいポイント

審査で採択を受けるためには、以下のようなポイントを抑えておきましょう。

ものづくり補助金の加点要素を把握

ものづくり補助金には加点要素となる項目があります。ものづくり補助金は競合が多く、ハードルが高いため、加点要素にしっかり対応することが採択への近道になります。加点要素は以下です。

成長性加点

経営革新計画を申請して、承認を受けている場合は成長性加点が追加されます。経営革新計画書の作成は時間がかかる他、認定までに時間がかかるため、ものづくり補助金の申請より前に完了させておく必要があります。

政策加点

小規模事業者、または創業から5年以内の事業者は政策加点が追加されます。

災害等加点

事業継続⼒強化計画の認定を受けている場合、災害等加点が追加されることがあります。経営革新計画よりは短期間で認定を受けられるため、事前に必ず申請して認定を受けておきましょう。

賃上げ加点

ものづくり補助金の要件には給与支給額の引き上げが含まれます。引き上げ額が基準を超えると、その金額に応じて加点されます。

事業や取組の革新性をアピール

ものづくり補助金の採択を受けるためのポイントとなるのは事業や取組の革新性です。「事業の新規性・独自性の他、地域密着性、社会への貢献度、導入予定の設備やツールの新規性・独自性」など、さまざまな角度から自社の革新性をアピールできるように戦略を練りましょう。

数値データなどの客観性を活用する

事業計画や事業の革新性に根拠や説得力を持たすためには、数値データやグラフが欠かせません。できる限り、資料に数値データ・グラフを追加し、わかりやすく革新性を伝えられるようにしましょう。

専門家にアドバイスを依頼する

ものづくり補助金の採択を受けるためにもっとも重要なのが、審査で使用される書類です。正確で説得力のある書類を作成するのは非常に難しく、調べながら作り込もうとすると数か月かかることもあります。より効率的に正確に書類を準備するためにも、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。相談できる専門家としては、中小企業診断士・税理士・行政書士・公認会計士などがあります。また、専門のコンサルティング会社にも相談できるでしょう。

まとめ

ものづくり補助金は、革新的なサービスの開発、試作品開発、生産プロセス改善などにかかる費用の補助金として利用できる制度です。採択を受けられれば、必要経費の大部分を補助金で補えることもあるため、ぜひ応募を検討してみてください。

 

この記事の執筆者

TheCFO.Media編集部

TheCFO.Media 編集部はシード・アーリー期の資金調達を目指す起業家に必要な情報を発信していくメディアとなります。

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