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補助金は交付決定前に発注すると対象外?経費計上のタイミングと注意点

CFO.Media編集部
補助金は交付決定前に発注すると対象外?経費計上のタイミングと注意点

結論から言うと、主要な国の補助金では、交付決定前に発注・契約・購入・支払いをした経費は補助の対象外です。採択されていても例外になりません。

採択通知を受け取った時点で設備を発注し、あとから対象外と分かる。補助金の実務で最も多い失敗のひとつです。この記事では、交付決定前の発注がなぜ認められないのか、いつから発注してよいのか、納期が間に合わないときの考え方を、各補助金の公式資料に沿って整理します。

結論:採択通知書では発注できない。発注してよいのは交付決定日以降

補助金には、似た名前の通知が2つあります。

  • 採択通知: 審査に通ったことを知らせるもの
  • 交付決定通知: 経費の内容を精査したうえで、補助金を交付すると正式に決めたもの

発注・契約・支払いを始めてよいのは、後者の交付決定通知書に書かれた交付決定日以降です。

小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)の第19回公募要領は、この点を明記しています。補助金交付決定通知書の前に送付される採択通知書だけでは、補助事業を始めることはできません。交付決定日前に行われた発注・契約・支出は補助対象外です(2026年10月時点の公開資料)。

ものづくり補助金:「いかなる理由があっても」対象外

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第23次締切の公募要領(2026年2月6日版)は、次のように定めています。

  • 交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費は、いかなる理由があっても補助対象外
  • 補助対象経費は、補助事業実施期間内に、補助事業者自らの名義の銀行振込で支払ったものに限る
  • 単価50万円(税抜)以上の物件は、原則として2者以上から同一条件の見積りが必要

採択から交付決定までの流れも押さえておきます。

  • 交付申請は、原則として採択発表日から遅くとも2か月以内に行う
  • 交付申請の受理から交付決定までの標準的な期間は、交付規程で原則30日とされている
  • 交付申請時に経費を精査され、交付決定額が減額、または全額対象外になる場合がある

つまり、採択発表から交付決定までは、数週間から数か月の空白があります。この期間に発注すると、経費は戻ってきません。

持続化補助金:前払いも対象外。例外は展示会の申込だけ

小規模事業者持続化補助金の第19回公募要領では、補助対象外の経費として次が挙げられています。

  • 交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払いを含む)をしたもの

注意したいのは、前払いも含まれる点です。発注していなくても、交付決定前に代金を振り込めば対象外になります。

例外は展示会等への出展の申込だけです。申込が交付決定前でも補助対象になりますが、請求書の発行が交付決定日以後でなければ対象外です。

交付決定の時期は、採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があると公募要領に書かれています。詳細な見積書を速やかに出した場合でも同様です。

デジタル化・AI導入補助金:ツールの契約も交付決定後

デジタル化・AI導入補助金2026(旧・IT導入補助金)の公式サイトでは、手順が次のとおり示されています。

  • 交付申請を完了し、事務局から交付決定を受けたあとに、ITツールの発注・契約・支払いを行う
  • 交付決定前に発注・契約・支払いを行った場合は、補助金の交付を受けられない

クラウドサービスの申込も、ここでいう契約にあたります。通常の申請では「まず利用を始めて、あとで申請する」は通用しません。

ただし例外がひとつあります。中小企業庁は2026年9月15日、消費税率の引下げへの対応として、スマートレジの導入やPOSレジ等の改修に限り「事前着手制度」を設けました。9月15日以降に対象のスマートレジ導入やPOSレジ改修を先に行い、あとから補助金を申請できます。対象はこの消費税率引き下げ対策に限られるため、それ以外のツールは従来どおり交付決定後に契約します。

例外はあるか:事前着手の承認制度

過去には、事務局の承認を受けた日以降の発注を特例で認める「事前着手」の制度がありました。ものづくり補助金の第4次締切(2020年11月)では、承認日より前の発注は対象外、承認後でも交付申請は必要、という条件でした。

ただし、これは当時の公募回の特例です。現行の第23次締切の公募要領には、先ほど見たとおり「いかなる理由があっても補助対象外」と書かれています。事前着手を前提に計画を組むのは危険です。

現行の制度で事前着手が認められているのは、前の節で見たデジタル化・AI導入補助金のスマートレジ導入・POSレジ改修(2026年9月15日以降)のように、対象を絞った場合です。使えるかどうかは、申請する公募回の公募要領で確認してください。

「発注した」とみなされる行為の例

実務では、発注書を出していなくても発注とみなされる行為があります。交付決定日より前に次の行為があると、その経費は対象外になるおそれがあります。

  • 注文書の発行、契約書への署名・押印
  • クラウドサービスや展示会の申込の確定(申込ボタンの押下を含む)
  • 手付金・前払金・代金の振込
  • 納品や工事の着手を口頭で依頼すること

社内で担当者が分かれている場合は、交付決定通知書が届くまで発注を止めると決め、購買・経理の担当にも伝えておきます。

失敗しない発注の順序

発注の順序は次の6段階です。

  1. 仕様を固め、複数社に見積りを依頼する(見積書の取得は発注ではない)
  2. 申請し、採択を待つ
  3. 採択後、交付申請と見積書の提出を行う
  4. 交付決定通知書の日付を確認する
  5. 交付決定日以降に発注・契約する
  6. 納品・検収を受け、銀行振込で支払う

見積書は、むしろ交付決定までに提出を求められます。持続化補助金では、採択発表後、交付決定までに見積書等(相見積を含む)の提出が必要です。見積依頼は早くてかまいません。止めるのは発注書の発行、契約書の締結、申込の確定、代金の支払いです。

納期が間に合わないとき

交付決定を待つと、導入が遅れます。ここでの判断軸は2つです。

  • 補助事業実施期間内に、契約・納入・検収・支払のすべてを終えられるか。 新事業進出・ものづくり補助金の公募要領では、期間の延長は原則認められません。天災など事業者の責任によらない事由に限られます
  • 補助金が出なくても、その投資をするか。 補助金を前提に資金繰りを組むと、交付決定が遅れたときに事業全体が止まります

納期の長い設備は、採択後すぐに交付申請の準備に入ることが最大の対策です。交付申請の期限を過ぎると、採択そのものが取り消されます。

よくある質問

見積書を取ることは、交付決定前でも問題ないですか。

問題ありません。見積書の取得は発注ではなく、価格の妥当性を示す書類として交付決定までに提出を求められます。ただし、見積書の取得と発注は別の行為です。注文書の発行や契約書の締結に進む前に、交付決定日を確認してください。

採択されたら、すぐ発注してもよいですか。

いけません。採択通知書は、補助事業を始める許可ではありません。交付決定通知書に書かれた交付決定日を確認してから発注します。

すでに発注してしまった場合はどうなりますか。

その経費は補助対象外です。交付決定前の発注は、あとから事情を説明しても救済されません。発注済みの分は、補助対象経費から外して交付申請してください。

まとめ

  • 交付決定前の発注・契約・購入・支払いは、主要な補助金で補助対象外
  • 発注してよいのは、採択通知ではなく交付決定通知書の日付以降
  • 見積書の取得は問題ない。むしろ交付決定までに提出を求められる
  • 事前着手が認められるのは、デジタル化・AI導入補助金のスマートレジ導入・POSレジ改修など対象を絞った場合だけ。申請する公募回の公募要領で必ず確認する

交付決定後の手続きは補助金の採択後にやること|交付申請・実績報告・精算の完全ガイド、後払いに備える資金の組み方は補助金の資金繰り設計|後払いで必要な資金とつなぎ融資の選び方で整理しています。

補助金の制度や公募の動きは頻繁に変わります。CFO.Mediaの週次・月次レポートでは、補助金と資金調達の最新動向を追っています。

出典

  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金事務局「公募要領(第23次締切)」(2026年2月6日版)、同「交付規程(第23次)」(2026年8月7日版)
  • 全国商工会連合会ほか「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第19回公募 公募要領(第6版)」
  • デジタル化・AI導入補助金2026事務局「交付決定後に必要な手続き」(2026年10月閲覧)
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金事務局「公募要領」(2026年6月29日掲載)
  • ものづくり・商業・サービス補助金事務局「事前着手申請対応要領(第4次締切)」(令和2年11月13日)
  • 中小企業庁「変化の時代に対応できるスマートレジの導入支援(事前着手制度)」(2026年9月15日)
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