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2026年上半期のVC投資トレンド|調達額・注目領域を分析

大野 祐生
2026年上半期のVC投資トレンド|調達額・注目領域を分析

2026年上半期(1-6月)のスタートアップ資金調達は、件数・金額ともに前年同期を上回るペースで推移しました。

CFO.Media Startup DB調べ(2026年1〜6月・全ステージ533案件を集計)では、この半年間で533件の資金調達を記録しています。

前年同期の470件から13.4%増加しており、件数ベースでは資金調達環境の回復が続いていることがうかがえます。

一方で開示金額ベースの合計は前年同期比27.7%増となり、件数以上に金額が伸びている点が2026年上半期の特徴です。

本記事では、CFO.Media Startup DB(2026年1〜6月・533案件)をもとに、上半期の全体像・注目領域・投資家動向を数字で解説します。

2026年上半期の全体像|件数・金額ともに増加

2026年上半期の資金調達は533件で、前年同期(470件)比13.4%増でした。

このうち調達額が開示されているのは276件(開示率51.8%)で、開示分の合計は約4,028.5億円に達しています。

前年同期の開示額合計(約3,154.1億円)と比べると27.7%増で、件数の伸び率を上回るペースです。

指標 2026年上半期 2025年上半期 増減
総調達件数 533件 470件 +13.4%
開示件数(開示率) 276件(51.8%) 347件(73.8%) 開示率-22.0pt
開示額合計 約4,028.5億円 約3,154.1億円 +27.7%
調達額中央値 5.4億円 3.6億円 +50.0%
調達額平均値 14.6億円 9.1億円 +60.6%

注目すべきは、調達額の中央値が3.6億円から5.4億円へ50%上昇している点です。

平均値はさらに大きく伸びており(9.1億円→14.6億円)、一部の大型ラウンドが全体を押し上げている構図がうかがえます。

一方で開示率は73.8%から51.8%へ低下しており、金額を非公表とする大型ラウンドが増えている可能性があります。

CFOとしては、公表データだけで「相場観」を判断すると実態より低い水準を想定してしまうリスクがある点に注意が必要です。

ステージ別の動向|シード期は横ばい、非開示ラウンドが急増

ステージ別に見ると、シード期が140件で引き続き最多です。

前年同期の137件からほぼ横ばいで、シード期の調達件数自体は安定して推移しています。

ステージ 2026年上半期 2025年上半期
シード 140件(+3件) 137件
プレシリーズA 34件(-1件) 35件
シリーズA 105件(-7件) 112件
シリーズB 86件(+7件) 79件
シリーズC 49件(+7件) 42件
シリーズD 16件(-4件) 20件
シリーズE 13件(+11件) 2件
ステージ非開示 71件(+49件) 22件

大きく変化したのは「ステージ非開示」の件数で、前年の22件から71件へ3倍以上に増加しました。

シリーズC(42件→49件)やシリーズE(2件→13件)も伸びており、後続ステージでの調達が活発化している傾向が読み取れます。

一方でシリーズA(112件→105件)とシリーズD(20件→16件)は件数が減少しており、ステージによって明暗が分かれる結果となりました。

注目領域|医療・ヘルスケアが首位、製造業が急浮上

インダストリー別では、医療・ヘルスケアが90件で首位に浮上しました。

前年同期は2位(82件)でしたが、IT・通信を上回るペースで件数を伸ばしています。

インダストリー 2026年上半期 2025年上半期
医療・ヘルスケア 90件 82件
ビジネスサポート 61件 78件
IT・通信 59件 87件
製造 57件 20件
エンターテインメント 41件 43件

最も変化が大きかったのは製造業で、前年同期の20件から57件へ2.85倍に増加しています。

背景には、設備投資・省力化・DX関連の補助金拡充や、製造現場でのAI活用需要の高まりがあると見られます。

一方でIT・通信は前年の87件(首位)から59件(3位)へ順位を下げており、資金調達の重心がIT一極から他業種へ分散しつつある様子がうかがえます。

医療・ヘルスケア領域で資金調達を検討する経営者は、投資家側の関心が高まっている今のタイミングを追い風にできる可能性があります。

投資家動向|メガバンク系VCが上位を占める

投資家別の参加件数を見ると、三菱UFJキャピタルが34件で最多でした。

みずほキャピタル(22件)、SMBCベンチャーキャピタル(19件)と続き、メガバンク系VC3社だけで合計75件に参加しています。

投資家 参加件数
三菱UFJキャピタル 34件
みずほキャピタル 22件
SMBCベンチャーキャピタル 19件
インキュベイトファンド 17件
ニッセイ・キャピタル 11件
JICベンチャー・グロース・インベストメンツ 11件
ANRI 11件

独立系VCではインキュベイトファンド(17件)が最も活発で、ANRI・JICベンチャー・グロース・インベストメンツもそれぞれ11件で存在感を示しています。

メガバンク系VCの参加件数が上位を占める構図は、金融機関がスタートアップ投資を経営戦略の一部として拡大している流れを反映していると考えられます。

資金調達を検討するスタートアップにとって、メガバンク系VCは融資・決済インフラなど金融機関ならではの事業連携も期待できる投資家候補です。

経営者・CFOが押さえるべきポイント

2026年上半期のデータから、資金調達を検討する経営者・CFOが意識すべき点は3つあります。

1つ目は調達額の大型化です。 中央値が5.4億円まで上昇しており、シリーズA以降のラウンドでは以前より高い調達額を前提とした資金計画が必要になっています。

2つ目は非開示ラウンドの増加です。 開示率が51.8%まで下がっているため、公開情報だけに頼ると相場観を見誤るリスクがあります。CFO.Mediaの週次・月次レポートのように、継続的にデータを追う情報源を持つことが重要です。

3つ目は業種による調達環境の差です。 医療・ヘルスケアや製造業は前年より資金調達の機会が広がっている一方、IT・通信は相対的に落ち着いています。自社の業種における資金調達環境を客観的に把握したうえで、調達タイミングやラウンド設計を検討することが望まれます。

よくある質問

2026年上半期のスタートアップ資金調達件数は何件ですか?

CFO.Media Startup DB調べ(2026年1〜6月)では533件で、前年同期の470件から13.4%増加しています。

2026年上半期の調達額の中央値はいくらですか?

開示分ベースで5.4億円です。前年同期の3.6億円から50%上昇しており、調達額の大型化が進んでいます。

2026年上半期に資金調達が伸びている業種は何ですか?

医療・ヘルスケアと製造業です。特に製造業は前年同期の20件から57件へ2.85倍に増加しています。

資金調達額の開示率が下がっているのはなぜですか?

明確な単一の要因は特定できませんが、大型ラウンドを中心に金額非公表のケースが増えている可能性があります。開示率は前年同期の73.8%から51.8%へ低下しました。

まとめ

  • 2026年上半期のスタートアップ資金調達は533件(前年同期比+13.4%)、開示額合計は約4,028.5億円(同+27.7%)
  • 調達額中央値は5.4億円(前年同期比+50.0%)で、大型化が進行
  • 開示率は51.8%まで低下(前年同期73.8%)、非開示ラウンドの増加に注意が必要
  • 医療・ヘルスケアが調達件数首位に浮上、製造業は前年比2.85倍と急伸
  • 投資家動向では三菱UFJキャピタル・みずほキャピタル・SMBCベンチャーキャピタルなどメガバンク系VCが上位を占める

CFO.Mediaでは、こうした資金調達動向を週次・月次レポートや業界分析として継続的に発信しています。自社の資金調達戦略に活かしたい方は、CFO.Mediaをぜひご覧ください。

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大野 祐生
Author
大野 祐生

米大学卒業後、NYでコンサルティング・NPO・起業を経験。帰国後、楽天・デロイト トーマツ ベンチャーサポートにて海外展開およびベンチャー支援に従事し、14カ国・500社超の事業成長を支援。2021年にThe CXO創業。複数ベンチャーのCXOとして参画し、実践知に基づく知見体系・フレームワークの構築を進めている。

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