CFO.Media

ABLとは?メリット・デメリットと利用が向いている企業の特徴

CFO.Media編集部
ABLとは?メリット・デメリットと利用が向いている企業の特徴

ABLとは、流動資産を担保として活用する金融手法です。ABLを活用するメリット・デメリットや手続きの方法、ABLの活用が向いている企業などについて解説します。

ABLとは?

ABLとは、自社が保有する流動資産(在庫の集合体や売掛債権)を担保として提供し、金融機関から融資を受けられる制度です。債務者が融資を返済できなくなったら、担保が換金され補填される仕組みになっています。流動資産を担保として活用できるため、不動産などを担保にできないスタートアップ企業などが非常に利用しやすい制度といえるでしょう。

ABLを利用するメリット・デメリット

ABLを利用するメリット・デメリットについて解説します。

メリット

ABLを利用するメリットとしては以下の3つがあります。

・資金調達がしやすい制度

不動産といった自社の資産がない企業でも融資を受けやすい制度です。また、担保となる在庫商品の品質や技術力、売掛債権の管理体制などが加味されるため、担保評価が高くなる可能性もあります。

・内部管理体制の整備につながる

担保の評価は、在庫商品の質や売掛債権の管理体制によって変化します。高い評価を得るには、資産の万全な管理が求められるため、ABLを利用することで内部管理体制を整備することができるでしょう。

・金融機関との信頼関係が強化できる

ABLを利用して事業者が融資を受けると、その後、流動資産の状況を金融機関に定期的に報告する義務が発生します。金融機関は、この報告によって事業者の経営状態を把握でき、また事業者はその都度相談をしたり、アドバイスを受けたりすることができます。ABLを通じて金融機関との接点が増え、結果的に信頼関係が強化されていきます。

デメリット

ABLを利用するデメリットについて解説します。

・債権の保全に必要となる限度を超える可能性がある

担保となる流動資産が商品の場合、金融機関によってその商品価値や評価は異なります。そのため、利用する金融機関によっては、債権の保全に必要となる限度を超える担保となる可能性があります。

・担保の管理状況などを報告する義務が発生する

ABLの担保は商品在庫や売掛債権といった流動資産のため、事業者は金融機関に対して定期的に正確な管理状況を報告しなければなりません。結果、金融機関との信頼強化につながることもありますが、社内にシビアな管理体制を強いることになります。

・担保権を実行されると、倒産に追い込まれる

融資の返済ができない状態になると、金融機関に担保権を実行されます。担保権を実行されると、在庫商品を販売できなくなったり、取引先や顧客からの支払いを差し押さえられたりして、倒産に追い込まれることになります。ABLは不動産などの資産がない企業にとって非常に便利な制度ですが、流動資産を担保に出すリスクについては覚えておくべきでしょう。

ABLを利用する際の手続き

ABLを利用する際の手続きについて解説します。

担保を評価する

まずは、提供する在庫商品や売掛債権が担保として価値を持っているかどうかを金融機関が評価します。
担保の評価方法は、以下の3つの市場価格を組み合わせて判断します。

・公正市場価格:通常の取引で決定される価格のこと
・通常処分価格:事業が破城し商品の価値が下がった場合、合理的な期間内に売却したときの価格
・強制処分価格:限られた期間にオークションなどで強制的に売却することを想定した価格

金融機関は、事業者の経営状態や事業計画などをもとに、どの市場価格に近いかを想定して担保評価を下します。

譲渡担保権を設定する手続き

担保の評価が決まったら、次に譲渡担保権の設定をします。譲渡担保権の設定は、担保となる流動資産が「集合動産(商品の在庫)」なのか「売掛債権」なのかでポイントが変化します。

・集合動産の場合

商品の在庫を担保として金融機関に提供する場合、商品の種類・数・保管場所をそれぞれ正確に特定する必要があります。

・売掛債権の場合

売掛債権を担保として提供する場合、「売掛債権の債務者・債権の発生原因(事業者と債権者との契約)・債権の種類・債権の発生期間(始期と終期)」をそれぞれ正確に特定します。

第三者対抗要件を設定する手続き

譲渡担保権の設定が完了したら、最後に「第三者対抗要件」を設定します。これを「第三者対抗要件の具備」といいます。

これは、担保とした流動資産を金融機関が「これは自社の担保である」と主張できるようにするためのものです。第三者対抗要件を具備することで、仮に第三者が権利を主張してきたとしても、それを退けることができます。

第三者対抗要件を具備するためには、譲渡担保権の設定登記が必要です。担保が集合動産の場合は「動産譲渡登記」、担保が売掛債権の場合は「債権譲渡登記」をおこなうことで第三者対抗要件が具備されます。

ABLに向いている企業とファクタリングとの違い

最後に、ABLはどんな企業に向いている制度なのか?またはファクタリングとはどのように違うのかについて解説します。

ABLが向いている企業の特徴

ABLが向いている企業の特徴としては以下の2点があります。

・流動資産を多く保有している

ABLは商品の在庫や売掛債権といった流動資産が担保となります。そのため、「売上が急成長し在庫や売掛債権を多く抱えている」「仕入れから販売までにタイムラグがあり在庫を多く抱えるビジネスモデルである」など、流動資産を多く保有する企業に向いている制度といえます。

・固定資産を保有している

ABLは、特定の固定資産も担保として活用できます。最新の機械設備など、担保として高評価が期待できる固定資産を保有している企業もABLの利用に向いているといえるでしょう。

ファクタリングとの違いは?

ABLと似た資金調達の方法としてファクタリングがあります。ABLとファクタリングの違いについても解説します。

・ファクタリングは融資ではなく債権の買取

ファクタリングは売掛債権をファクタリング業者に買い取ってもらうことで資金調達をする方法です。売掛債権の支払期日より前に請求金額を現金化できる方法で、お金を借りる融資とは異なります。

・ファクタリング利用者と売掛先企業の双方の信用力が見られる

ABLは、融資を受ける債権者の信用力が見られます。そのため、流動資産を保有していても、信用力が低いと判断されれば融資を受けられません。
ファクタリングの場合は、売掛先企業とファクタリング利用者の信用力を両方見るため、万が一ファクタリング利用者の信用力が低くても、売掛先企業の信用力が高ければ利用できる可能性が高まります。

・利息が異なる

ABLは融資のひとつであるため、利息制限法上の上限金利である年利15~20%を超えて請求されることはありません。ファクタリングは融資ではないためこの制度が適用されず、代わりに手数料を支払う必要があります。手数料は売掛債権額の2〜18%程度(2社間で8〜18%、3社間で2〜9%が目安)で、業者によって異なるため、ABLの利息よりも高くなる可能性があります。

まとめ

ABLは、在庫商品や売掛債権を担保に融資が受けられる制度です。今回ご紹介したように、不動産などを資産がない企業、流動資産を多く保有する企業に向いている制度です。資金調達の方法にお悩みの方は、ABLも選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか?

C.
Author
CFO.Media編集部

CFO.Mediaは、シード・アーリー期の資金調達を目指す起業家のための情報プラットフォームです。国内スタートアップの調達事例や最新トレンドを、データと実例をもとにわかりやすく解説します。