海外展開に使える補助金まとめ|JETRO・中小機構・自治体の支援制度
海外展開を検討しているスタートアップや中小企業にとって、初期投資や市場調査の負担は大きな課題です。国や自治体は複数の補助金制度を用意しており、設備投資から販路開拓まで幅広く支援しています。この記事では、JETRO・中小機構・自治体が提供する主要な補助金制度を紹介し、選び方のポイントを解説します。
海外展開の補助金を選ぶ前に知っておくべきこと
海外展開の補助金は、事業の目的やステージによって適した制度が異なります。まず自社の海外展開計画を整理し、必要な支援内容を明確にすることが重要です。
補助金選定の3つの判断軸
補助金を選ぶ際は、①事業の目的(設備投資・販路開拓・知財保護)、②展開先の地域(アジア・欧米など)、③自社の規模と資金力の3つを軸に判断します。例えば、製造業で海外に生産拠点を設ける場合は設備投資型、まずは海外市場を調査したい場合は展示会出展型の補助金が適しています。
国・JETRO・自治体の役割分担
国(経済産業省・特許庁)は設備投資や知財保護など大規模な支援、JETROは販路開拓や市場調査などのソフト支援、自治体は地域企業向けの展示会出展補助など、それぞれ得意領域が異なります。複数の補助金を組み合わせることで、初期投資から現地展開まで一貫した支援を受けることが可能です。
海外展開に使える補助金おすすめ7選
①ものづくり補助金(グローバル枠)|設備投資に最大3,000万円
ものづくり補助金のグローバル枠は、海外事業を実施しながら国内の生産性を高める設備投資やシステム導入を支援する制度です。
対象経費は機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費など。補助率は1/2(中小企業)、補助上限は最大3,000万円です。海外への直接投資、海外市場開拓、インバウンド対応、外国法人との共同事業が対象となります。
向いている企業は、製造業で海外拠点の立ち上げを計画している企業、国内生産と海外販売を組み合わせたい企業です。採択率は約50%で、事業計画の実現可能性と収益性が審査のポイントです。申請には認定支援機関のサポートが必要なため、早めに準備を進めることが重要です。
②JETROの中堅・中小企業輸出支援エコシステム形成事業|最大2,000万円
2026年度(令和7年度)にJETROが実施する輸出支援プログラムで、複数の民間事業者が連携して中堅・中小企業の輸出拡大を支援する事業に補助金を交付します。
対象経費は海外展示会出展、マーケティング調査、商談支援、デジタルマーケティングなど。補助率は1/2、1件当たり最大2,000万円を目安に支援されます。単独企業ではなく、商社・物流・マーケティング企業などが連携してエコシステムを形成する点が特徴です。
向いている企業は、初めて輸出に挑戦する中小企業、複数企業で共同して海外市場を開拓したい企業です。JETROの新規輸出1万者支援プログラムとも連携しており、輸出の準備段階から現地販売まで一貫したサポートを受けられます。
③中小企業等海外侵害対策支援事業(防衛型)|知財訴訟に最大500万円
海外で産業財産権(特許・商標など)に関する係争に巻き込まれた中小企業等に対し、対抗措置にかかる費用を助成する制度です。
対象経費は弁護士費用、訴訟費用、調査費用など。補助率は2/3、上限額は500万円です。補助対象となるのは、補助金の交付決定日から2026年1月15日までに発生した費用です。海外で模倣品被害や特許侵害の訴訟を起こされた場合に、中小企業が泣き寝入りしないための防衛支援が目的です。
向いている企業は、海外で商標や特許を登録済みで、侵害リスクが高い企業です。特に中国・東南アジアなど模倣品被害が多い地域で事業展開している製造業に有効です。
④中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外権利化支援事業)|外国出願費用の1/2
特許庁が実施する制度で、外国への事業展開を計画している中小企業等に対し、外国出願にかかる費用の半額を助成します。
対象経費は外国特許庁への出願料、現地代理人費用、翻訳費用など。補助率は1/2です。日本で既に特許・商標を取得済み(または出願中)であることが条件で、外国での権利化を戦略的に進める企業を支援します。
向いている企業は、技術やブランドを武器に海外展開するスタートアップ、製造業です。特許は取得国でのみ権利が有効なため、海外市場で模倣品対策を行いたい企業には必須の制度です。
⑤アジアDX等新規事業創造推進支援事業費補助金|アジア地域のDX・新規事業に補助
JETROが実施する、アジア地域でのDX推進や新規事業創造を支援する補助金です。ビジネス共創促進事業を通じて、現地企業との連携やデジタル技術を活用した事業展開を後押しします。
対象経費は実証実験費用、システム開発費、現地パートナー開拓費用など。詳細な補助率・上限額は公募要項で発表されます。アジア市場でのSaaS展開、IoT活用、AI導入などが想定される支援対象です。
向いている企業は、IT・SaaS系スタートアップ、製造業のDX推進企業です。アジア市場での実証実験や現地企業との共同開発を検討している企業に適しています。
⑥東京都の市場開拓助成金|展示会出展費用を補助
東京都が中小企業向けに提供する市場開拓支援で、国内外の展示会・見本市への出展費用や、Webサイト作成・広告費用を助成します。
対象経費は展示会出展料、ブース装飾費、通訳費用(海外展示会の場合)、Webサイト制作費など。補助率・上限額は事業内容によって異なりますが、海外展示会の通訳費用も対象となる点が特徴です。
向いている企業は、東京都内に本社または事業所を持つ中小企業です。初めて海外展示会に出展する企業、海外向けWebサイトを制作してオンライン販路を開拓したい企業に有効です。
⑦自治体独自の海外展開補助金|地域密着型の支援制度
都道府県や市町村が独自に実施する海外展開補助金も活用できます。例えば、北九州市は「北九州市中小企業海外展開支援助成金」を設け、市場調査・海外見本市出展・越境EC販路開拓・認証取得にかかる経費の一部を助成しています。
対象経費は市場調査費、展示会出展費、越境EC構築費、現地認証取得費など。補助率・上限額は自治体ごとに異なります。大阪市、名古屋市、福岡市など主要都市では海外展開支援制度が充実しています。
向いている企業は、地域に拠点を持つ中小企業です。自治体の補助金は国の制度より小規模ですが、審査期間が短く、地域の商工会議所や金融機関のサポートを受けやすい点がメリットです。
海外展開の補助金活用時の注意点
補助金は原則として後払い(精算払い)のため、一旦は自社で費用を立て替える必要があります。資金繰りに余裕を持った計画が重要です。
申請書類の準備と採択率
補助金申請には事業計画書の作成が必須で、海外展開の目的・市場分析・収益見込み・リスク対策を具体的に記載する必要があります。特にものづくり補助金やJETROの大型補助金は競争率が高く、認定支援機関(税理士・中小企業診断士など)のサポートを受けることで採択率が向上します。
複数の補助金を組み合わせる戦略
1つの事業で複数の補助金を併用することも可能です。例えば、ものづくり補助金で設備投資を行い、JETROの支援で販路開拓、自治体補助金で展示会出展費用をカバーするといった組み合わせが現実的です。ただし、同一経費に対して重複して補助を受けることはできないため、経費の振り分けを明確にする必要があります。
まとめ
海外展開に使える補助金は、国(ものづくり補助金・海外権利化支援)、JETRO(輸出支援・DX推進)、自治体(展示会出展・市場調査)の3層で構成されています。自社の事業ステージと展開戦略に応じて、複数の制度を組み合わせることで初期投資の負担を大幅に軽減できます。
| 補助金制度 | 主な用途 | 補助上限 |
|---|---|---|
| ものづくり補助金 | 設備投資・システム導入 | 最大3,000万円 |
| JETRO輸出支援 | 展示会・販路開拓 | 最大2,000万円 |
| 海外侵害対策 | 知財訴訟・防衛 | 最大500万円 |
| 海外権利化支援 | 外国特許・商標出願 | 出願費用の1/2 |
| 自治体補助金 | 展示会・市場調査 | 自治体により異なる |
補助金活用の3つのポイント: ①事業計画書を早めに準備する、②認定支援機関のサポートを受ける、③国・JETRO・自治体の制度を組み合わせて活用する。補助金は返済不要ですが、後払い方式のため資金繰りの計画も忘れずに行いましょう。
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