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海外展開に使える補助金まとめ|JETRO・中小機構・自治体の支援制度

 

海外展開の補助金を選ぶ前に知っておくべきこと

海外展開向けの補助金は、支援機関・目的・対象経費によって複数の制度があります。まず自社の海外展開フェーズと目的を明確にすることが重要です。

補助金選びの判断軸

補助金を選ぶ際は、展開フェーズ支援内容の2軸で考えると整理しやすくなります。検討段階では情報収集や市場調査の支援、実行段階では販路開拓や設備投資の補助を受けられます。

JETROの制度は幅広い業種・フェーズに対応し、自治体の制度は地域企業向けに特化しているのが一般的です。複数の制度を併用できるケースもあるため、各制度の対象要件を確認しましょう。

自社に合った補助金の選び方

初めて海外展開する企業は、伴走支援がセットになった新規輸出1万者支援プログラムが適しています。既に販路がある企業は、輸出拡大や現地設備投資に特化した補助金を検討するのが自然です。

知的財産権の保護が必要なケースでは、特許・商標の海外出願費用を補助する制度を優先的に活用できます。補助率は2/3が一般的ですが、上限額が制度によって異なる点に注意が必要です。

海外展開に使える補助金7選

①JETRO 新規輸出1万者支援プログラム

新規輸出1万者支援プログラムは、輸出を検討中の中小企業に対し、JETRO・中小機構・金融機関が連携して無料で支援するプログラムです。専門家による伴走支援で事業計画の策定から課題解決までサポートします。

このプログラムは補助金ではなく支援サービスですが、費用負担なしで専門家の助言を受けられる点が最大の特徴です。海外展開の具体的な方向性が決まっていない段階で、まず相談先として活用できます。

対象は輸出実績が少ない、または未経験の中小企業です。申請方法は中小機構の窓口またはJETROのウェブサイトから登録し、初回面談で現状と課題をヒアリングします。

②JETRO 中堅・中小企業輸出支援エコシステム形成事業費補助金

中堅・中小企業輸出支援エコシステム形成事業費補助金は、民間の輸出支援事業者が連携して中小企業の輸出拡大を支援する取り組みに対する補助制度です。2026年1月31日まで事業実施が可能です。

この補助金の特徴は、2者以上の連携体で申請する必要がある点です。単独では申請できないため、支援事業者や他の企業と協力体制を組む前提になります。

申請はjGrants(Jグランツ)で行います。2025年度の公募は4月21日から5月30日15時まで受け付けており、採択後は輸出支援に関するコンサルティング・マーケティング・販路開拓費用に充当できます。

③JETRO 中小企業等海外侵害対策支援事業(防衛型)

中小企業等海外侵害対策支援事業(防衛型)は、海外で産業財産権に関する係争に巻き込まれた中小企業に対し、対抗措置にかかる費用を助成する制度です。補助率は2/3、上限額は500万円です。

海外で模倣品が出回っている、または商標を冒認出願されているケースで活用できます。係争費用は予想以上に高額になりやすいため、この補助金で負担を軽減できるのは大きなメリットです。

申請は申請書(様式第13)に必要事項を記入し、JETRO知的財産課へEメール送信またはjGrantsで行います。補助金交付決定日から2026年1月15日までに発生した費用が対象です。

④JETRO 中小企業等海外侵害対策支援事業(冒認商標無効・取消係争支援)

冒認商標無効・取消係争支援事業は、海外で第三者によって自社商標が勝手に出願・登録されているケースで、無効化・取消にかかる費用を支援する制度です。補助率は2/3、上限額は500万円です。

東南アジアや中国では冒認商標のトラブルが多く、対応が遅れると現地でのブランド展開に支障が出ます。この補助金を活用すれば、早期に商標権を確保できます。

申請期限は2025年10月31日17時厳守で、予算がなくなり次第終了します。採択から2026年1月15日までに発生する費用が対象です。

⑤JETRO 海外サプライチェーン多元化等支援事業

海外サプライチェーン多元化等支援事業は、サプライチェーンの多元化を図る企業に対し、海外拠点の設備導入費用を補助する制度です。ASEAN諸国での製造拠点立ち上げや既存拠点の増強が対象です。

補助率は中小企業で2/3以内、補助上限額は案件によって異なります。設備導入補助型の第六回公募が2026年に予定されており、製造業を中心に活用されています。

申請は公募期間中にjGrantsで行います。補助対象経費は機械装置・設備費・工具費などで、現地での生産体制強化を目的とした投資に限定されます。

⑥東京都 スタートアップ海外進出支援事業

東京都スタートアップ海外進出支援事業は、設立10年未満の都内中小企業を対象に、海外販路開拓・販売促進にかかる経費を補助する制度です。東京都中小企業振興公社が運営しています。

補助率は2/3以内、補助上限額は案件によって異なります。対象経費は海外展示会出展費・通訳費・ウェブサイト制作費・広告宣伝費などで、スタートアップの初期販路開拓に適しています。

申請は東京都中小企業振興公社のウェブサイトから行います。設立10年未満という要件があるため、若い企業ほど活用しやすい制度です。

⑦特許庁 スタートアップ等外国出願支援事業

スタートアップ等外国出願支援事業は、海外での特許・商標・意匠の出願費用を補助する制度です。特許庁が運営し、スタートアップの知財保護を支援します。

補助率は1/2、補助上限額は1企業あたり年間300万円です。米国・EU・中国・東南アジアなど主要市場での知財出願が対象です。

申請は都道府県の知財総合支援窓口を通じて行います。事前相談が推奨されており、出願戦略の妥当性を確認した上で申請するのが採択率を上げるポイントです。

海外展開補助金 活用時の注意点

補助金を活用する際は、事業実施期間と対象経費を必ず確認しましょう。補助金交付決定前に発生した費用は原則として対象外です。

よくある落とし穴

補助金の多くは交付決定後に事業を開始する必要があります。先に契約や支払いを済ませてしまうと補助対象外になるため、タイムラインの設計が重要です。

また、補助金は後払い方式が一般的で、まず自社で費用を立て替える必要があります。キャッシュフローに余裕を持った計画を立てることが求められます。

事前に確認すべきポイント

申請前に、対象経費の詳細必要書類をリストアップしましょう。見積書・契約書・支払証憑など、証拠書類の保管が採択後の精算に必須です。

複数の補助金を併用する場合は、重複申請の可否を各制度の事務局に確認します。同一経費に対して複数の補助金を受けることは原則できません。

海外展開補助金の比較表

制度名 運営機関 補助率 上限額 対象経費
新規輸出1万者支援 JETRO/中小機構 無料支援 - 専門家伴走
輸出支援エコシステム JETRO 公募要項参照 公募要項参照 輸出支援事業
海外侵害対策(防衛型) JETRO 2/3 500万円 係争費用
冒認商標無効支援 JETRO 2/3 500万円 無効・取消費用
サプライチェーン多元化 JETRO 2/3(中小) 案件により変動 設備導入費
都スタートアップ支援 東京都 2/3 案件により変動 販路開拓費
外国出願支援 特許庁 1/2 300万円/年 知財出願費

まとめ

海外展開に使える補助金は、JETRO・中小機構・自治体が多様な制度を用意しています。自社の展開フェーズと目的に応じて、最適な制度を選ぶことが重要です。

  • 初めての輸出は新規輸出1万者支援プログラムで専門家のサポートを受ける
  • 知財トラブルには海外侵害対策支援で係争費用を補助
  • 現地生産拠点の設備投資にはサプライチェーン多元化支援を活用
  • スタートアップは東京都の支援制度外国出願支援を組み合わせる
  • 申請は交付決定前の費用が対象外になる点に注意
  • 複数制度の併用可否を事前に確認する

CFO.Mediaでは、スタートアップの資金調達情報や補助金データベースを提供しています。海外展開の資金計画にお役立てください。

この記事の執筆者

TheCFO.Media編集部

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