【世界を変革する専門家に学ぶ|北條 明宏氏】スタートアップの資金調達と事業計画の書き方(第2回)
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【世界を変革する専門家に学ぶ|北條 明宏氏】
・第1回:スタートアップの資金調達ラウンドと企業評価価値の考え方
・第2回:スタートアップの資金調達と事業計画の書き方👈
・第3回:スタートアップのフェーズ別、お薦め資金調達手法
・第4回:シリーズAからの投資契約書の種類株式で気を付けるべき点は
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第1回目のコラムではスタートアップ資金調達の基本でもある、バリュエーションや調達ラウンドについて解説しました。
第2回目となる今回は、スタートアップの資金調達手段の一つであり、成長支援を行ってくれるベンチャーキャピタル(VC)と資金調達を受ける際に重要となる、事業計画書の書き方について解説していきます。
ベンチャーキャピタル(VC)の種類と特徴
スタートアップ業界に精通していない方も、ベンチャーキャピタル(VC)という存在を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
VCを理解する上で、資金調達手法を理解しておく必要があり、大きく2つの方法が存在します。1つはデットファイナンス、そしてもう一つがエクイティファイナンスです。
デットファイナンスとは、銀行借り入れや社債発行による資金調達のことを指し、返済義務を伴うもので、「借入金融」とも呼ばれます。デットファイナンスのメリットはエクイティファイナンスに比べて、短時間で借入ができ、経営への影響も少ない点です。他方、毎月の支払義務が発生したり、ハンズオン(金融機関等が実際に手を動かして支援する)支援を受けられないことがデメリットになります。
エクイティファイナンスは新株発行、新株予約権付社債等の発行により、エクイティ(株主資本)の増加をもたらす資金調達のことです。発行会社から見ると、原則、返済期限の定めがない調達手法であり、財務体質を強固にする効果があります。メリットとしては、返済義務がなく出資先からのハンズオンの支援を受けられる場合があり、デメリットは、投資を受けるまでに時間を要する点や、経営への影響が挙げられます。
スタートアップがエクイティ調達をする際に、力を貸してくれる存在VCになります。一言でVCといっても、いくつかの種類と特徴があり、「独立系」・「金融系」・「CVC・事業会社系」に大別されることが一般的で、それぞれ以下のような特徴があります。
独立系VC
親会社が存在せず資本が独立しているVCを指し、純粋な投資を行うのが最大の特徴です。シード・アーリー期のスタートアップへの投資を専門にしている場合や、ある程度、成長した企業に対して大型投資が得意な場合など、それぞれのVCによって特徴は異なります。
金融系VC
銀行・証券会社・保険会社などの金融機関を親会社に持つVCです。また、比較的規模が大きくなった企業へ投資する傾向があります。一方で、最近は、地域金融機関のVCなどは、PMFが確かめられたシード・アーリー期のスタートアップに投資を実行するVCも増えてきました。
CVC・事業会社系
投資を本業としない事業会社が投資リターン以外の戦略的な狙い(自社の事業分野へのシナジー効果や情報収集)で行う投資やそのための組織を指します。親会社が出資しているため、コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)と呼ばれます。
事業計画書を書く際のコツ
資金調達を進めていく上で、必要になるのが事業計画書です。事業計画書は創業者の夢を実現するための具体的な行動を示す計画書であり、投資判断に大きな影響を与えます。事業計画書を作成する際、下記表にまとめたポイントは最低限網羅しておく必要があるので、過不足がないかチェックしましょう。
数値計画策定する際のポイント
数値計画を策定する場合、KPIの設定は重要になります。まずは、数値計画作成の基礎をネットサービス系の事業を事例に整理しました。
売上のKPIを設定する第一歩として、自社サービスの売上構成要素を分解する必要があります。ネットサービスの分解事例と設定イメージを以下に整理しました。
売上と合わせて、費用についても同様にKPIを設定します。人件費の場合、役職・役割ごとの単価と人数で整理し、いつ・何人必要かを整理します。
本コラムのまとめ
今回は以下の3つのテーマを中心に用語の意味や考え方を説明しました。
- VCには、「独立系」・「金融系」・「CVC・事業会社系」の3つに大別することができ、それぞれ投資目的や投資金額・投資フェーズが異なる。
- 投資家に資金調達の打診をする際には事業計画書が重要であり、課題設定やビジョン、数値計画や投資目的等、押さえておくべきポイントがある。
- 数値計画を策定する上で、KPIの設定が重要であり、目標達成に向けて要素を分解・整理して、設定値を決めていく必要がある。
スタートアップには調達ラウンドによって推奨される調達手法があり、金融機関等からの融資(デットファイナンス)や補助金は条件次第で有効的に活用できます。次回はラウンド別にお薦めする調達手法について解説しますので、是非ご確認ください。
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【世界を変革する専門家に学ぶ|北條 明宏氏】
・第1回:スタートアップの資金調達ラウンドと企業評価価値の考え方
・第2回:スタートアップの資金調達と事業計画の書き方👈
・第3回:スタートアップのフェーズ別、お薦め資金調達手法
・第4回:シリーズAからの投資契約書の種類株式で気を付けるべき点は
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