女性起業家が使える補助金・融資には、国の低利融資から東京都独自の助成金、女性特化の投資ファンドまで複数の選択肢があります。対象要件や融資限度額を比較しながら、2026年時点で実際に使える制度を解説します。
女性起業家の資金調達で公的支援を検討すべき理由
創業期のスタートアップは自己資金だけで事業を回すのが難しく、低利融資や返済不要の助成金を組み合わせることで資金繰りの余裕を作れます。女性起業家に限っては、国の融資制度に加えて東京都独自の助成金・投資ファンドが用意されており、対象要件や融資条件が一般制度より有利になっているケースがあります。まずは自分の事業がどの制度の対象になるかを確認することが、資金調達の出発点になります。
国の融資制度|日本政策金融公庫「女性、若者/シニア起業家支援資金」
日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」とは、女性、または35歳未満か55歳以上の方で、新たに事業を始める方・事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした融資制度です。創業融資の中でも対象要件が明確で、多くの女性起業家が最初に検討する制度になります。
融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、設備資金の返済期間は20年以内、運転資金の返済期間は10年以内、据置期間はいずれも5年以内です。創業期は原則として無担保・無保証人で利用でき、担保を提供しない場合は利率が優遇される仕組みになっています。申し込みから融資実行までの目安は約1か月とされています。
一般的な創業融資の審査基準・準備の流れは、日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」の実務ガイドで詳しく解説しています。
東京都の助成金・融資制度
東京都は国の制度とは別に、都内で創業する女性起業家向けの助成金・融資制度を複数運営しています。国の制度と併用できるケースもあるため、まず都の制度を確認してから国の融資を検討する順番が効率的です。
創業助成金(令和8年度)
東京都の「創業助成金」は、都内で創業予定の個人、または創業から間もない中小企業者等を対象に、賃借料・広告費・従業員人件費等、創業初期に必要な経費の一部を助成する制度です。令和8年度は年2回程度の募集が予定されており、令和8年度第2回の申請受付は2026年9月29日から開始します。助成対象期間は交付決定日から6か月以上、最長2年で、第2回の交付決定日は令和9年3月1日が予定されています。
女性・若者・シニア創業サポート事業2.0
東京都が信用金庫・信用組合を通じて融資原資を預託し、有利な条件での融資を実行する制度です。融資限度額は女性の場合2,000万円以内(運転資金のみは1,000万円以内)で、女性以外(39歳以下・55歳以上)は1,500万円以内・750万円以内となります。固定金利1.25%以内、無担保、返済期間10年以内、据置期間3年以内という条件で、都内在住・都内創業予定の女性(創業後7年未満)が対象です。
| 制度 | 融資限度額 | 金利・担保 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| **日本公庫 女性、若者/シニア起業家支援資金** | 7,200万円(運転資金4,800万円) | 無担保・無保証人が原則、担保なしで利率優遇 | 設備20年以内/運転10年以内 |
| **東京都 女性・若者・シニア創業サポート2.0**(女性) | 2,000万円以内(運転資金1,000万円以内) | 固定金利1.25%以内、無担保 | 10年以内(据置3年以内) |
東京都独自の助成金制度は他にも複数あり、全体像はスタートアップ向け助成金一覧の記事で整理しています。
民間の投資ファンド・VCの動き
融資・助成金は返済や経費要件が伴う一方、投資ファンドからの出資は返済不要な資金として活用できます。女性起業家に特化した出資の受け皿も、ここ数年で具体的に動き始めています。
東京都「女性活躍推進スタートアップ支援ファンド」
東京都は2025年3月、女性起業家が経営するスタートアップ、または女性活躍の推進に資する技術・サービスを持つスタートアップを対象にした投資ファンドを設立しました。都が出資する40億円に民間資金を合わせ、2つのファンドで計80億円以上(最大130億円を想定)の規模を目指すとしており、女性起業家に100%特化したベンチャーファンドの設立は国内初とされています。
女性キャピタリストによる新興ファンドの登場
投資の出し手側にも変化があります。2026年3月には、インキュベイトファンド出身の女性キャピタリストが創業期特化の新ファンド「Oikaze Ventures」を設立しました。国内VC全体でも投資担当者に占める女性の比率は2025年時点で2割に迫っており、女性起業家の資金調達を後押しする環境が徐々に整いつつあります。
制度を選ぶ際に確認すべき3つのポイント
- 利用目的で選ぶ: 創業資金か運転資金かによって、融資限度額・返済期間の条件が変わります。使い道を先に整理してから制度を絞り込みます
- 助成金は後払いが原則: 多くの助成金は経費を支出した後の精算方式のため、先に立て替える運転資金を融資で確保しておく設計が必要です
- 出資は希薄化とセットで考える: 投資ファンドからの出資は返済不要ですが株式の希薄化を伴うため、事業計画・成長スピードに応じて融資・助成金と使い分けます
よくある質問
女性起業家向けの補助金・助成金にはどんな種類がありますか?
国の低利融資(日本政策金融公庫)、自治体の創業助成金、女性特化の投資ファンドの3種類が代表的です。目的に応じて組み合わせて活用できます。
日本政策金融公庫の女性向け融資はいくらまで借りられますか?
「女性、若者/シニア起業家支援資金」の融資限度額は7,200万円で、うち運転資金分は4,800万円までです。創業期は無担保・無保証人が原則です。
東京都の創業助成金はいつ申請できますか?
令和8年度は年2回程度の募集があり、第2回の申請受付は2026年9月29日から始まります。募集要項は東京都産業労働局のサイトで公開されます。
女性起業家向けの投資ファンドはありますか?
東京都が2025年に設立した「女性活躍推進スタートアップ支援ファンド」など、女性起業家に特化した出資制度が国内でも登場しています。
まとめ
- 女性起業家は日本政策金融公庫の低利融資、東京都の助成金・融資、女性特化の投資ファンドという3系統の資金調達手段を使い分けられる
- 日本公庫の融資限度額は7,200万円、東京都の女性向け融資は2,000万円以内と条件が異なるため、必要額に応じて選ぶ
- 東京都の創業助成金は令和8年度第2回の申請受付が2026年9月29日から開始する
- 出資による資金調達を検討する場合は、女性活躍推進スタートアップ支援ファンドのような特化型ファンドの動きも確認しておく
資金調達の全体設計や他の資金調達手段との比較は、CFO.Mediaのスタートアップ資金調達に関する記事もあわせて参考にしてください。
3分のチャットで、あなたに合う投資家・補助金・調達の相場感がわかる。無料で使えます。
CFO.Mediaは、シード・アーリー期の資金調達を目指す起業家のための情報プラットフォームです。国内スタートアップの調達事例や最新トレンドを、データと実例をもとにわかりやすく解説します。