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セカンダリー取引とは?スタートアップの株式流動性を確保する仕組み

CFO.Media編集部
セカンダリー取引とは?スタートアップの株式流動性を確保する仕組み

セカンダリー取引とは、スタートアップが新株を発行せず、既存株主が保有する株式を第三者に譲渡する取引です。VCファンドの持分売却や、役職員がストックオプションを行使して得た株式の現金化などが代表例です。未上場株式は上場株式と違って売買の場が限られていましたが、専門プラットフォームの登場で流動性確保の選択肢が広がっています。本記事では、その仕組み・メリット・経営者が押さえるべき留意点を解説します。

セカンダリー取引とは

セカンダリー取引とは、会社に新たな資金が入らない株主間の株式譲渡を指します。資金調達(プライマリー取引)は会社の資本を増やす取引です。一方この取引は株主の入れ替えにとどまる点が最大の違いです。会社側から見れば、単体では調達資金は増えません。その代わりに株主構成の整理や既存株主の流動性確保という別の意味を持ちます。

プライマリー取引との違い

プライマリー取引は新株発行を伴い、会社の資本金と発行済株式数が増加します。一方こちらは既発行株式の名義が変わるだけです。会社の資本構成には直接影響しません。資金調達ラウンドの中でセカンダリーとプライマリーが同時に組み合わされるケースもあります。資金調達ラウンドの全体像については資金調達ラウンドの全体像|プレシード〜IPOまでの流れと各段階の特徴で整理しています。

なぜ今セカンダリー取引が注目されているか

未上場株を投資家間で売買する取引は、ここ数年で急速に増えています。背景には2025年5月に施行された改正金融商品取引法があります。専門業者の参入環境が整ったことで、市場の裾野が広がっています。上場前の株主入れ替えが活発化する動きは日本経済新聞でも取り上げられています。小粒上場を避けて成長期間を延ばす選択肢として位置づけられています。

セカンダリー取引の具体的な仕組み

この取引の当事者は、売り手・買い手それぞれに複数のパターンがあります。

誰が売り手・買い手になるか

売り手側で多いのは、投資期間の満了が近いVCファンドと、ストックオプションを行使した役職員です。ストックオプションは行使すると課税対象になります。現金化のタイミングを図れないと、納税資金でキャッシュショートするリスクがあります。買い手側は、既存の株主構成を理解した上で追加出資したい他のVCや事業会社が中心です。会社にとっては、時期尚早なIPOを避けながら新たな株主を迎え入れられるという利点にもつながります。

主な取引プラットフォーム

日本国内では、smartroundNstockFUNDINNOなどが専用の取引所の整備を進めています。FUNDINNOは「FUNDINNO MARKET PLUS+」でプロ投資家向けの専用取引所を開始しました。株式に加えてストックオプション行使後の株式売却も対象にしています。プラットフォームの登場前は相対取引や個別交渉が中心でした。現在は価格情報や取引実績が可視化されつつある段階です。

スタートアップにとってのメリットと留意点

この仕組みは会社・株主双方にとって、使い方次第でメリットにも制約にもなります。

メリット

会社にとっては、株主構成を整理しながら成長期間を延ばせる点が大きなメリットです。初期のエンジェル投資家やシード期VCが持分の一部を売却するケースもあります。その結果、後続ラウンドの投資家が入りやすくなる効果も期待できます。役職員にとっては、IPOを待たずにストックオプションの一部を現金化できます。資産形成の選択肢が広がるという意味を持ちます。

留意点

未上場株式には譲渡制限が付いているのが一般的です。取締役会や株主総会の承認が必要になります。ストックオプションの行使条件に「IPO達成後に限る」といった条項が含まれている場合があります。その場合、未上場のままでは行使自体ができない点にも注意が必要です。上場株式と違って公開された時価がありません。株価算定の妥当性を巡って売り手・買い手間で交渉が長引くこともあります。

経営者が押さえておくべきポイント

この取引を資本政策の一部として位置づけるかどうかは、経営者の判断にかかっています。

資本政策への組み込み方

キャップテーブル管理の一環として、どの株主がいつ持分を減らす可能性があるかを把握しておくことが重要です。既存株主の意向を早期に確認しておけば、会社が関与しない形で突発的な株主変更が起きるリスクを減らせます。詳しくはスタートアップのキャップテーブル管理|株主構成・持株比率の設計と注意点で解説しています。

従業員向けSO設計時の注意

これから発行するストックオプションについては、行使条件の設計時に検討すべき点があります。未上場時点でのセカンダリー売却を想定するかどうかも、その一つです。制度設計の段階で流動性確保の選択肢を組み込んでおくと、採用競争力の面でもプラスに働きやすくなります。

よくある質問

セカンダリー取引とプライマリー取引の違いは何ですか?

プライマリー取引は新株発行で会社に資金が入りますが、こちらは名義変更のみで資本構成には直接影響しません。

未上場のストックオプションは売却できますか?

行使条件次第です。IPO達成を行使条件にしている場合は未上場では行使できず、条件次第でセカンダリー市場での売却可否も変わります。

セカンダリー取引の価格はどう決まりますか?

公開された時価がないため、直近の資金調達ラウンドの株価や事業状況を踏まえて売り手・買い手間の交渉で決まるのが一般的です。

まとめ

  • セカンダリー取引は既存株主間の株式譲渡で、会社の資本構成には直接影響しない
  • 取引は近年急増しており、2025年5月の改正金融商品取引法の施行が追い風になっている
  • 売り手はVCファンドや役職員、買い手は新たな出資を検討するVC・事業会社が中心
  • smartround・Nstock・FUNDINNOなどのプラットフォームで取引の可視化が進む
  • 譲渡制限・行使条件・株価算定の妥当性は事前に確認しておくべき留意点

この取引は、資金調達の代替手段ではなく株主構成を整理するための選択肢です。CFO.Mediaでは、スタートアップの資金調達動向やキャップテーブル管理に関する分析記事を継続的に発信しています。自社の資本政策を見直す際の参考として、あわせてご覧ください。

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