海外展開に使える補助金まとめ|JETRO・中小機構・自治体の支援制度
海外展開には資金・人材・知見が必要ですが、国や自治体が提供する補助金を活用すれば、初期コストを大幅に抑えられます。JETRO、中小機構、東京都などが用意する支援制度を押さえることで、海外市場への参入リスクを下げながら挑戦できます。この記事では、スタートアップ・中小企業が使える補助金を7つ厳選し、対象者・補助率・申請のポイントを解説します。
海外展開の補助金を選ぶ前に知っておくべきこと
海外展開の補助金は、用途によって3つのカテゴリに分かれます。
展示会・EC出品など初期市場調査に使える補助金は、海外展示会への出展費用、海外ECサイトへの初期登録費用、現地市場調査費用をカバーします。初めて海外市場にアプローチする企業に適しており、補助率は1/2〜2/3が一般的です。
現地拠点設立・人材採用に使える補助金は、海外オフィスの賃料・初期費用、現地人材の採用・給与、販路開拓のための営業活動費をカバーします。本格的な海外展開を進める企業向けで、補助上限が数百万〜2000万円と高めに設定されています。
知財保護に使える補助金は、海外での特許・商標出願費用、模倣品対策・訴訟費用を支援します。自社の技術・ブランドを守りながら海外展開したい企業に必須で、補助率は1/2〜2/3、上限500万円程度が一般的です。
自社のフェーズと目的に合った補助金を選ぶことで、無駄なく海外展開を進められます。
海外展開に使える補助金おすすめ7選
①中堅・中小企業輸出支援エコシステム形成事業費補助金(JETRO)
JETROが実施する、輸出支援ビジネスを展開する民間事業者向けの補助金です。中堅・中小企業の輸出拡大を支援する取り組みに対して、最大2000万円を補助します。
補助率は1/2で、事業実施期間は交付決定日から2026年1月31日までです。申請期間は2025年4月21日〜5月30日(15:00締切)となっており、海外展開支援のプラットフォームを構築したい事業者に適しています。
対象経費には、海外市場調査費、専門家派遣費、プロモーション費、システム開発費などが含まれます。複数の支援機関が連携して包括的な輸出支援を提供する仕組みづくりを後押しする制度です。
向いている企業: 輸出支援サービスを提供する民間事業者、中堅・中小企業向けのプラットフォーム構築を目指す企業
②新規輸出1万者支援プログラム(JETRO・中小機構)
JETRO、中小機構、地方自治体、金融機関などが連携し、輸出を目指す企業に対して無料のコンサルティング支援を提供するプログラムです。金銭的な補助金ではなく、専門家による伴走支援が特徴です。
輸出登録した企業は、中小機構に登録された専門家から無料で海外展開事業計画の策定支援を受けられます。海外展開の初期段階で「何から始めればいいかわからない」企業に最適です。
支援内容には、市場調査の進め方、現地パートナーの探し方、輸出規制・認証の確認、海外向けマーケティング戦略の立案などが含まれます。計画策定後は、JETROの海外展開支援プラットフォームを通じて、現地コーディネーターによるビジネスマッチング支援も受けられます。
向いている企業: 海外展開の経験がない企業、市場調査・事業計画の策定段階にある企業
③中小企業等海外侵害対策支援事業(JETRO)
海外での知的財産権の侵害に対応するための補助金です。防衛型侵害対策支援事業と冒認商標無効・取消係争支援事業の2つがあります。
防衛型侵害対策支援事業は、海外で模倣品・海賊版の被害を受けた企業に対し、調査費・弁護士費用・訴訟費用などを補助します。補助率は2/3、上限500万円で、2026年1月15日まで支援を受けられます。
冒認商標無効・取消係争支援事業は、第三者に勝手に商標登録された場合の無効審判・取消請求の費用を補助します。補助率・上限は同じく2/3、500万円です。
海外展開時に自社の技術やブランドを守ることは必須です。特に中国・東南アジアでの模倣品被害が多い製造業、ブランド価値の高い消費財を扱う企業に適しています。
向いている企業: 海外で模倣品被害を受けている企業、第三者に商標を先取りされた企業
④スタートアップ海外進出支援事業(東京都中小企業振興公社)
東京都に本社を置くスタートアップ・中小企業を対象に、海外市場開拓にかかる費用を補助する制度です。補助率は2/3、上限200万円です。
対象経費には、海外展示会への出展費用、海外ECサイトへの初期登録費、海外向けWebサイト制作費、販売促進費、外注委託費などが含まれます。設立から10年未満の企業で、積極的な海外展開を目指す意欲のある企業が対象です。
申請時には、海外展開計画書の提出が求められます。計画の妥当性・実現可能性が審査されるため、市場調査や売上見込みを具体的に記載することが採択のポイントです。
向いている企業: 東京都に本社があるスタートアップ、海外展示会・ECに出品したい企業
⑤福岡市スタートアップ海外展開支援補助金
福岡市が提供する、スタートアップの海外展開を後押しする補助金です。世界レベルの技術・サービス・製品を持つスタートアップに対し、海外展開にかかる費用を補助します。
対象経費には、語学力・ビジネス経験を持つ高度人材の採用費、海外拠点の開設費用(賃料・敷金礼金・初期費用)などが含まれます。補助上限や補助率は公募時に公表されますが、過去の事例では数百万円規模の支援が行われています。
福岡市内に事業所を持つスタートアップで、海外に販路を拡大したい企業に適しています。本格的な現地拠点の設立を視野に入れている企業にとって、初期費用を大幅に圧縮できる制度です。
向いている企業: 福岡市内に拠点があるスタートアップ、現地拠点を設立したい企業
⑥ものづくり補助金(グローバル展開型)
ものづくり補助金の「グローバル展開型」は、海外事業の拡大・強化を目指す中小企業を対象とした枠です。直接投資、海外市場開拓、インバウンド需要対応などの取り組みを支援します。
補助上限は3000万円、補助率は1/2(小規模事業者は2/3)です。海外展開に必要な設備投資、システム構築、技術導入などの費用を幅広くカバーします。
対象経費には、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費などが含まれます。製造業を中心に、海外での生産拠点設立や現地企業との提携を進める企業に適しています。
向いている企業: 製造業で海外拠点を設立したい企業、海外向け製品開発に設備投資が必要な企業
⑦スタートアップ設立に向けた外国出願支援補助金(特許庁)
特許庁が実施する、スタートアップの海外特許出願費用を補助する制度です。補助率は1/2、上限は複数国出願の場合300万円です。
対象となるのは、設立から10年未満のスタートアップで、海外での特許・実用新案・意匠・商標の出願費用が補助されます。対象地域には、米国、EU、中国、東南アジア諸国などが含まれます。
海外展開において知的財産の保護は極めて重要です。技術系スタートアップが海外市場に参入する前に、自社の技術を守るための出願費用を支援する制度として活用価値が高いです。
向いている企業: 技術系スタートアップ、海外で特許・商標を取得したい企業
海外展開補助金の活用時の注意点
よくある落とし穴
補助金は後払いが基本です。申請が採択されても、費用は一旦自社で立て替える必要があります。数百万円規模の支出を先に行う資金余力があるかを確認しましょう。
また、補助対象経費には厳格な定義があります。交際費、海外旅費の一部、経常的な経費などは対象外です。申請前に募集要項を熟読し、対象経費に該当するかを確認することが重要です。
複数の補助金を併用できない場合があります。同一の経費に対して国と自治体の補助金を重複して受けることは原則禁止されています。併用可能かどうかを事前に確認しましょう。
事前に確認すべきポイント
採択率は制度によって異なります。人気の高い補助金では20〜40%程度の採択率になることもあるため、不採択のリスクも想定して事業計画を立てることが現実的です。
申請書の作成には時間がかかります。事業計画書、収支計画、市場調査資料などの準備に数週間〜1ヶ月程度を見込んでおく必要があります。申請締切の直前に慌てないよう、早めに準備を始めましょう。
事業完了後の報告義務があります。補助金の交付を受けた後は、事業完了報告書、収支報告書、成果報告書の提出が求められます。報告を怠ると補助金の返還を求められる場合があるため、実施体制を整えておくことが重要です。
まとめ
海外展開に使える補助金は、国・自治体・支援機関が多様な制度を用意しています。JETROや中小機構は輸出支援・知財保護を中心に、東京都や福岡市はスタートアップの現地展開を支援しています。
自社のフェーズに合った補助金を選び、申請書の質を高めることで採択率を上げられます。補助金は後払い方式が基本のため、資金繰りの計画も忘れずに行いましょう。
CFO.Mediaの補助金データベースでは、最新の補助金情報を随時更新しています。自社に最適な支援制度を探したい経営者・CFOの方は、ぜひご活用ください。
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