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企業タイプ別に解説!資金調達の方法と調達方法を選ぶ際の注意点

 

起業を予定している方やすでに会社を経営している方の中には、資金調達でお悩みの方も多いのではないでしょうか?資金調達をすることで、自己資金以上の金額を調達することができます。資金調達の方法と資金調達の方法を選ぶ際の注意点について詳しく解説します。

資金調達の方法を知る前に。短期資金と長期資金の違い

資金には「短期資金」と「長期資金」の2種類があります。まずはそれぞれの違いについて解説します。

短期資金

短期資金とは返済期間が1年未満のものです。以下のような諸費用に必要な資金が該当します。

  • 季節資金(法人税納付資金・年末決済資金など特定の季節に毎年必要になる資金)
  • つなぎ資金
  • 法人税

このような、企業の運営に欠かせない費用や毎年必ず発生する費用が短期資金です。短期資金を調達するには、短期の借入・後払いファクタリングなどを活用します。

長期資金

長期資金とは、返済期間が1年以上のものです。返済義務のない資金も長期資金に含まれます。以下のような諸費用に必要な資金が該当します。

  • 設備資金
  • 増加運転資金・経常運転資金

このような準備のために必要な資金は長期資金です。長期資金の調達には、長期の借入・社債の発行・返済義務のない増資などを活用して調達します。

資金調達の3つの分類とそれぞれのメリット・デメリット

資金調達の方法は以下の3つに分類されます。それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。

資産を売却(アセットファイナンス)

1つめは自身・自社が保有する有形・無形の資産を売却して資金を調達する方法です。アセットファイナンスとも呼ばれます。

メリット

企業の信用力が低下しており、融資などを受けられない場合でも手元の資産を売却するなどして資金を調達できます。また、保有資産の信用力で資金調達できる可能性もあります。有形・無形の資産を売却することは、資産のオフバランス化(貸借対照表から切り離す)につながり、財務体質の改善や経営効率の向上といった効果が期待できます。

デメリット

資金を生み出す価値がある、または将来的にキャッシュを生み出す信用力がある資産を持っていなければアセットファイナンスを利用することはできません。

主な方法

アセットファイナンスの主な方法としては、不動産の売却・商標権の売却・自社保有サービスやメディアの売却・などが挙げられます。

銀行借入や債権発行などの負債(デッドファイナンス)

2つめは銀行借入や債券発行などの負債によって資金を調達する方法です。デッドファイナンスとも呼ばれます。

メリット

金融機関や公的機関、投資家など、調達先が豊富で選択肢が多いのがデッドファイナンスのメリットです。また、借入などの支払いで発生する利息は税務上の損金として扱われます。経費として計上することができるため、税金対策になるといった側面もあります。

デメリット

必ず返済が発生するのがデッドファイナンスのデメリットです。返済する分だけ、将来の資金が減少することになります。また、借入した金額に合わせて自己資本比率が低下するため、取引先などからの信用が低下する点にも注意が必要です。

主な方法

デッドファイナンスの主な方法としては、プロパー融資・公的融資・ビジネスローンどが挙げられます。

一般的に、金融機関が事業融資を行う場合において、信用保証協会の保証等がなく直接自身の責任100%で実行するもののことを「プロパー融資」と呼んでいます。

株式の交付と引き換え(エクイティファイナンス)

3つめは、株式の交付によって、株主から出資してもらい資金調達する方法です。エクイティファイナンスとも呼ばれています

メリット

エクイティファイナンスの最大のメリットは、返済義務が発生しないことです。将来的なキャッシュフローが安定する他、自己資本が増強され財務基盤が安定するなど多くのメリットがあります。

デメリット

エクイティファイナンスのデメリットは、出資者が増えることです。出資者が増えることで、会社の経営権を握られる、または経営への影響が強くなるといったリスクがあります。また、返済は発生しないものの、出資者である株主に対して、収益に応じた配当金の支払い義務が発生するという点も抑えておきましょう。

主な方法

エクイティファイナンスの方法としては、時価相応の価格で株式を発行する公募・株主割当増資・第三者割当増資などが挙げられます。

企業タイプ別に解説!おすすめの資金調達の方法

ここからは企業のタイプ別にどのような資金調達の方法が良いのか、おすすめの方法について解説します。

新しいビジネスを立ち上げ(スタートアップ・ベンチャー)

新しいビジネスを立ち上げるスタートアップやベンチャーには以下の4つの方法がおすすめです。

ベンチャーキャピタルからの出資

ベンチャーキャピタルとは、新しい技術を用いた商品・サービス開発を行う、将来有望な企業を対象に資金を行う「投資専門会社」です。おすすめの理由と注意点について解説します。

【おすすめの理由】

将来有望なスタートアップやベンチャー企業への投資を目的としており、返済義務がないため、融資限度額のない資金を調達ができます。また、多くの投資経験からアドバイスやサポートを受けながら資金調達をすることができます。

【注意点】

ベンチャーキャピタルは未上場企業に投資をして、その企業が上場したあとに株式を売却することで利益を得る組織です。そのため、事業の将来性や成長性の審査が非常に厳しくなります。また、場合によってはベンチャーキャピタルの意向に沿った事業展開や経営が必要になることもあります。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫とは、中小企業や個人事業主を中心に事業支援を行う公的機関です。さまざまな融資のプランを準備しています

【おすすめの理由】

ほとんどの事業者を対象として「一般貸付」、資金開業や起業家向けの「新規事業活動促進資金」「創業融資制度」など、さまざまな事業者を対象として融資プランがあり、自身に合ったフェーズのプランを選ぶことで融資を受けやすくなります。また金利も低いのが特徴です。

【注意点】

事業計画書や資金繰り表の提出が必要です。初めての方にとって、これらの作成は難易度が高いため、専門家のアドバイスを受けながら作成することをおすすめします。また、書類審査や面談が厳しく、審査に時間がかかる傾向があります。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットの専用サービスを利用して広く出資を募る仕組みです。

【おすすめの理由】

一口数千円など、少額からの投資が可能です。そのため、資金力のあるなしに関わらず、幅広く募集をかけることで、最終的にまとまった金額を集めることができます。出資といっても協賛金の意味合いが強く、返済義務がないのもポイントです。

【注意点】

出資はしてもらいやすいものの、まとまった金額になるまで時間がかかる可能性があります。また、準備やマーケティングにおいて様々な工数が発生しますが、目標とする金額に達しない可能性もあります。

個人投資家

個人投資家は、有望な起業家や経営者に投資などの支援を行う人のことです。

【おすすめの理由】

個人間での取引になるため、ベンチャーキャピタルや公的機関で発生する審査がない場合が多く、個人的に信用してもらうことで契約が成立する可能性があります。また、個人投資家の資産によってはまとまった金額を調達できることも。

【注意点】

個人投資家が経営に入り込んでくる可能性があります。借入がしやすい反面、リスクも大きいことを理解しましょう。投資を受ける際には、本当に信頼できる人物なのか、経営に入り込んでくる可能性はないのか、もしくは事業を共にするのに適した人材なのかといった、見極めが重要になります。

個人または少人数による小規模事業(個人事業主)

小規模事業(スモールビジネス)には、「日本政策金融公庫の融資」や「クラウドファンディング」といったスタートアップやベンチャーでおすすめした資金調達の方法がおすすめです。また、以下の3つの方法も活用できるでしょう。

家族・親戚・友人からの借入

家族・親戚・友人といった近しい人から借入をする方法です。

【おすすめの理由】

家族・親戚・友人といった近しい間柄であれば、相談しやすく、各種機関や企業を利用する際に発生する手続きや審査がありません。金利や返済期間などの条件面も、話し合いによって柔軟に設定できる可能性があります。

【注意点】

返済・借入の条件面の取り決め、または権利・義務の所在があいまいになりやすく、後々のトラブルにつながる可能性があります。家族・親戚・友人といった縁が切れてしまう可能性もあるため、条件面はなるべく細かく調整してから決める必要があります。

自治体の制度融資

自治体の信用保証協会の信用力を活用して銀行から融資を受ける方法です。

【おすすめの理由】

自治体の信用保証協会を介して融資をするため、銀行にはリスクがありません。そのため、個人事業主や少人数でスモールビジネスを行う起業家でも比較的融資を受けやすいといえます。

【注意点】

審査が厳しく、時間がかかる点に注意が必要です。また、自治体の制度融資を受けるためには、「自己資金を50%準備する」などの条件があります。自己資金が少ない場合は、利用できない可能性があります。

助成金・補助金

助成金や補助金は、自治体などの公的機関が行っている経営資金の融資・出資制度です。

【おすすめの理由】

基本的に返済義務が発生せず、金融機関などを利用するのに比べると少ない負担で資金を調達できます。また、複数の融資・出資制度があるため、自身に合ったタイプの制度を利用できます。

【注意点】

自身に合った融資・出資制度がない場合もあります。また、申し込み条件・期間もさまざまで、資金調達をしたいタイミングに必ず申し込みができるわけではありません。各自治体や期間のHPを適宜確認するなど、自分に合った制度を見逃さないようにしましょう。

銀行からの個人ローン

フリーローンと呼ばれる、利用目的と問わない銀行の個人ローンを利用する方法です。

【おすすめの理由】

事業の将来性などとは関係なく、個人の信用度で比較的簡単に申し込みができます。また手続きが簡単で、上手くいけば短期間で資金を調達できます。

【注意点】

金融機関によって金利が異なるものの、基本的に金利が非常に高いという点が注意点です。将来の負担が重くなるため、起業の資金調達として利用するかどうかは慎重に考えた方が良いでしょう。

その他の資金調達の方法

ここまでご紹介したもの以外では、以下のような資金調達の方法があります。

ファクタリング

ファクタリングは、売掛債権を専門の業者に売却して資金を調達する方法です。自社の信用力がなくても、支払先の信用力があれば利用することができます。また、最短で即日審査完了など、素早く資金調達ができます。ただし、手数料がかかる他、支払先に信用力があることが利用の大前提になります。

手形割引

手形割引は、取引先から受け取った手形を、銀行に売却して資金を調達する方法です。手形さえあれば、ファクタリングのように、素早く資金調達ができます。しかし、「銀行に売却した手形が不渡りになると買い戻さなければならない」「審査が厳しい」といった点に注意が必要です。

ビジネスローン

ビジネスローンは、銀行や消費者金融といった金融機関が法人向けに行っているローンです。無担保・保証人なし・即日借入などのメリットがありますが、金利が高い点に注意が必要です。

私募債

私募債は、社会的に信用力のある企業が活用できる資金調達の方法です。社債と呼ばれる債権を発行し、投資家から資金を借入れます。担保や保証人が不要といったメリットがありますが、企業の信用力がなければ投資を受けられないのと、金利と支払いの義務が発生するなど、デメリットも多い方法です。

資金調達よりもまずは自己資金の確保を

資金調達を行うことで、起業や事業の安定運営に必要な費用を確保できます。しかし、どのような方法であっても、返済や金利、負債などのリスクやデメリットが発生します。もっとも安全なのは、必要な費用を自己資金で確保することです。また、資金調達の方法を試しても、100%融資を受けられるとは限りません。まずは手元の資金でできることから始めるなど、資金調達の方法に過度に期待しないようにしましょう。

 

この記事の執筆者

TheCFO.Media編集部

TheCFO.Media 編集部はシード・アーリー期の資金調達を目指す起業家に必要な情報を発信していくメディアとなります。

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