販路開拓サポート助成事業とは?助成要件や申請方法を解説!
東京都は個人・法人を問わず、さまざまな事業者向けに助成金・補助金制度を設けています。販路開拓サポート助成事業は、その中のひとつ、WEBサイト制作費や販促費などを対象とした助成事業です。今回は、販路開拓サポート事業の助成要件や申請方法について解説します。
販路開拓サポート助成事業とは?
販路開拓サポート助成事業の基本情報について解説します。
販路開拓サポート助成事業の目的と概要
販路開拓サポート助成事業は、都内の中小企業を対象とした助成金制度です。中小企業の販売促進に必要な費用の一部を助成することを目的としています。定められた要件を満たし、審査に通過することで助成金が交付されます。
助成限度額と助成率
助成限度額は総額150万円で、経費項目ごとに上限が設けられており、助成率は4/5となっています。
販路開拓サポート助成事業の助成要件は?
販路開拓サポート助成事業には助成要件が定められており、要件を満たした事業者が助成金を受け取れます。助成要件は以下の3つです。
助成要件1
中小企業基本法で規定する中小企業者(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、有限会社、個人事業者)に該当している事業者。また、日本標準産業分類に基づく「産業分類表」の対象外ではない業種。かつ、大企業が実質的に経営に参画していない事業者が対象となります。
助成要件2
・法人の場合
本店または支店の所在地が都内に登記されており、かつ都内の事業所で実質的に業務がおこなわれている事業者。また、都税等を滞納なく納めていることを証明書による確認できること。
・個人の場合
主たる事業所等が都内に実在し、都内の主たる事業所等で実質的に事業を行っている事業者。また、都税等を滞納なく納めていることを証明書による確認できること。
助成要件3
助成対象とした経費に対して、その他の制度を利用した支援を受けていないこと。特定の支援制度の申請中でないことなど、定められた13項目のすべてに該当していることが助成要件として定められています。項目の一部を以下抜粋します。詳細は出典よりご確認ください。
・令和 3 年度「販路開拓チャレンジ助成事業」に申請中又は交付決定を受けていないこと
・本事業の申請は、一事業者につき一回であること
・東京都及び公社に対する賃料・使用料等の債務の支払いが滞っていないこと
・助成対象となる取り組みの実施に当たって必要な許認可を取得し、関係法令を遵守していること
など
出典:令和3年度第3回 一時支援金等※受給者向け販路開拓サポート助成事業「募集要項」
販路開拓サポート助成事業の対象は?
販路開拓サポート助成事業の対象となる経費について解説します。
対象経費
対象経費となるのは、以下7つの条件に該当した経費です。また、対象となる経費の一部もご紹介します。
【対象経費の条件】
1.助成対象となる取り組みをするための必要最小限の経費
2.助成対象期間内に発注又は契約・実施・支払いが完了する経費
3.助成対象(使途、単価、仕様、数量等)が報告書類(写真、帳票類等)により確認可能であり、かつ、本助成対象となる取り組みに係るものとして明確に区分できる経費※報告書類は日本語表記によるものに限る
4.生業かつ主要業務とする業者へ直接委託・契約するもの
5.自社内で直接実施することが困難なものについて外部に委託する場合の経費
6.販売促進費の助成対象とする制作物や広告は、自社又は自社で取り扱う製品・技術・商品・サービス(以下「自社で取り扱う商品・サービス」という。)の制作物や広告であることが確認できること
7.「対象となる支払方法」に記載された方法で支払ったもの
【対象経費】
・小間スペース利用料
・オンライン出展基本料
・小間装飾費
・輸送費
・ECサイト出店初期登録料
・自社Webサイト制作費
・チラシ・カタログ制作費
・PR動画制作費
など
なお、経費項目ごとに申請時の上限金額が決まっています。申請時には、上限金額を超えないように確認しながら記入する必要があります。
出典:令和3年度第3回 一時支援金等※受給者向け販路開拓サポート助成事業「募集要項」
7つの条件を満たした販売促進に関わる経費が助成対象となります。対象経費の詳細は出典よりご確認ください。
対象となる展示会・ECサイト
展示会ではなく「セミナー・レクチャー・体験会・懇親会」などにかかった経費は対象外となります。また展示会においても、自社の小間スペース以外の共用部にかかる経費、展示会のキャンセル料や協賛金、申請者が主催の展示会などは対象になりません。
また、ECサイトは出店初期登録料だけが助成対象になります。その他の構築・デザイン・運用などにかかる経費は対象外となる点を覚えておきましょう。
合わせて、助成対象となる展示会とECサイトに関しては、助成対象になるための要件が定められています。事前に必ず確認しておきましょう。
助成対象とならない経費
助成対象とならない経費の一部を抜粋します。
・手数料、交通費、レンタカー代、ガソリン代、宿泊費、保険料(輸送に係る保険を除く)、飲食費、雑費等の間接経費
・調査、打ち合わせ及びコンサルティング的要素を含む経費、その他自社や自社で取り扱う商品・サービスの PR に直接的に関わらないすべての経費
・購入物、特注品、自社で制作する場合の経費
・他の用途にも使用できるものに係る経費
・租税公課(例:消費税、印紙代等)
・支払いに際して、クレジットカード、ポイントカード、デビットカード等により取得又は使用した現金換算可能なポイント分※過去に取得したポイントの使用分も含まれます。
・公的資金の使途として社会通念上、不適切と認められる経費
出典:令和3年度第3回 一時支援金等※受給者向け販路開拓サポート助成事業「募集要項」
この他、使用状況が確認できない経費、支払いが不適切な経費、実績報告書に不備がある場合など、助成対象であっても支給されないケースもあります。
販路開拓サポート助成事業の申請方法
販路開拓サポート助成事業の申請方法について解説します。
申請方法
申請に必要な書類を用意し、期日までに提出することで申請できます。募集要項などに記載されている送付先に郵送しましょう。申請に必要書類に関しては以下で解説します。
必要書類
申請時に必要な書類は以下です。
・申請書
・誓約書
・一時支援金等の受給確認書類
・【法人】発行後 3 か月以内の履歴事項全部証明書
・【個人】個人事業の開業・廃業等届出書
・【個人】所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書
・印鑑証明書
・納税証明書
・【該当者のみ】日本語の出展要項
・【該当者のみ】ECサイトの出展登録要項
申請に必要な書類は多岐に渡ります。提出時に不備がないように、早めに準備しましょう。
申請の注意点
申請時の注意点について解説します。以下のポイントに注意して慎重に申請書類の準備を進めましょう。
・事前エントリー期間中にエントリーした方の中で、申請可能な予算の方のみが対象となる
・申請書はA4用紙に片面出力し、申請者の実印を押印する(ホッチキス不可)
・受付期間締め切り時点で書類に不備がある場合は申請できない
・申請書類の提出者・連絡担当者は申請者の役員・従業員に限る。連絡担当者は取組完了まで同一であること
・マイナンバーの記載がある場合、判読できないようにする
・必要に応じて追加資料の送付を依頼することがある。早めに提出することを推奨する
・申請にかかる経費は申請者負担となる
・送付した書類は返却しない
参考:令和3年度第3回 一時支援金等※受給者向け販路開拓サポート助成事業「募集要項」
申請から交付までの流れ
申請から交付までの流れについて解説します。なお、期間の目途は令和4年に開催された募集スケジュールを参考にしています。
1.事前エントリー(2月中旬~下旬)
2.申請受付 (2月下旬~3月中旬)
3.審査(3月中旬~6月上旬)
4.交付決定→助成事業開始(6月上旬より順次)
5.実績報告書の提出(助成対象となる取り組み実施後)
6.完了検査→助成金額の確定(完了検査から約 2 か月後)
7.助成金の請求→受け取り(助成金の請求から約1か月後に支給)
(※)申請スケジュールは、令和3年度第3回 一時支援金等※受給者向け販路開拓サポート助成事業のスケジュールを参照
販路開拓サポート助成事業の情報は随時更新されています。申請から交付までの流れなど、フローに変更が入る可能性もあるため、申請を検討している方は最新情報を確認しましょう。
参考:公益財団法人 東京都中小企業復興公社「一時支援金等受給者向け販路開拓サポート助成事業」
販路開拓サポート助成事業についてよくある質問
最後に販路開拓サポート助成事業に関するよくある質問をご紹介します。
Q1. 事前エントリーとはどのようなものか?しなくてもエントリーできるか?
支給できる予算に限りがあるため、事前エントリーの先着順で予算の範囲内の方のみ申請を受け付けています。そのため、申請には事前エントリーが必要です。
Q2. 先着数の確認はできるか?上限に到達した場合は?
事前エントリーの先着順は回答できません。また、上限に到達した時点で受付終了となります。
Q3. その他の助成と組み合わせて申請できるか?複数回申請できるか?
「販路開拓チャレンジ助成事業」と「販路開拓サポート助成事業」に申請中または交付決定の方は申請できません。また申請は1回までです。複数回の申請はできません。
まとめ
販路開拓サポート助成事業は、都内の中小企業を対象とした助成金制度です。交付が決定すると、オフライン・オンラインの展示会出展・ECサイトの登録料・自社サイトの制作費など、販売促進に必要な費用の一部が支給されます。上限金は150万円で、経費ごとに上限金額が定められています。販促に関わる該当事業の検討しているスタートアップ、中小企業の方は、ぜひ利用を検討してみてください。
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