5分でわかる「レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)」
RBFには2種類の方法がある
RBFで調達した企業は、毎月支払いを行います。この支払方法は2種類存在します。
業績に関わらず一定金額を毎月支払う「Flat fee(定額型)」と業績に応じて毎月の支払額が変動する「Variable collection(変動受取型)」です。
Flat fee(定額型)
将来収益の一定割合を毎月支払うタイプです。RBFの提供会社によって異なりますが、支払い期間は約1年程度となります。
毎月の支払額が固定されているため、規模が大きくなればなるほど、売上に占める支払割合は小さくなります。そのため、急成長しているスタートアップにとってふさわしい手段といえます。
「Yoii fuel」も「Flat fee」形式で運営しています。
Variable collection(変動受取型)
調達企業は、売上に連動した金額を毎月支払います。そのため、業績がよければ返済額も多くなり、その分返済期間が短くなります。逆に、業績が良くなければ、返済期間は長期化します。カナダに拠点をおくユニコーン企業「Clearco」などは、この形式を採用しています。
どのようなユーザーが、なぜRBFを利用しているのか、ここまででRBFの特徴、株式や借入との違いについてご理解いただけたかと思います。
それでは、RBFはどのような企業が、どのような目的で利用しているのでしょうか。
SaaSやD2C企業の広告宣伝費、手元キャッシュ確保
まずは、サブスクビジネスを提供しているSaaSやD2C企業。なぜなら、売上のリカーリング比率が高く、将来の収益が予測しやすいためです。
主な資金用途としては、広告宣伝費があげられます。タクシー広告をはじめ、セールス&マーケティングへ投資するSaaS企業が近年増加しています。
また、年間契約一括前払いの顧客に対して15%程度値引きをしていてやめたいが、キャッシュは必要といった状況であれば、RBFを利用することで値引き分よりも低いコストで同等の効果を得られます。
EC事業者の仕入れや広告宣伝費
EC事業者はRBFを活用することで、需要に応じた仕入れやマーケティング投資が可能となります。サブスクリプションの要素は薄いですが、財務データから将来の売上を予測できるため、気軽に利用できます。
ブラックフライデーなど、ピークシーズンに向けて在庫を確保。広告宣伝費を補強すれば、増加した売上で素早く支払うこともできます。
このようにRBFによる調達は、将来売上の一部を現金化するため、株式や借入による調達よりも小額となる場合が多いです。
RBFは株式や借入と共存していく
繰り返しにはなりますが、RBFは従来の調達方法よりも速く、そして、起業家のオーナーシップを保った調達手段として、今後はますます需要が高まっていくでしょう。
しかし、RBFは従来の調達手段(株式や借入)を代替するものでなく、共存するものだと考えています。それは、資金調達の目的や資金使途が異なるためです。
株式による調達は、たしかに持分が希薄化するというデメリットがあります。しかし、VCのネットワークを活用することで、ビジネスをよりスケールすることが可能です。また、ハンズオンで支援してもらうことで、確実性を高めることができます。
借入による調達は、RBFよりも大きな金額を調達できるでしょう。また、銀行が顧客を紹介してくれることも想定できます。
そのような背景から、スタートアップはRBF / 株式 / 借入をハイブリッドで活用していくことが想定されます。
本コラムのまとめ
今回は以下3つのテーマを中心に解説しました。
- RBFは希薄化を防ぎながら迅速な資金調達ができる
- 急成長しているスタートアップには、「定額型」のRBFが最適
- 起業家はRBFを株式や借入と組み合わせながら資金調達していく
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